ロス・ビッチョスが持つクンビアとロックのフレンドリーな関係 鳥居真道が考察
ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 - パンツの中の蟻を探して」。第20回は民謡クルセイダーズ、ロス・ビッチョスを入り口に、コロンビアを代表する音楽クンビアを考察する。 DAWと人による奇跡的なアンサンブル 鳥居真道が徹底考察 民謡クルセイダーズが米公共放送のNPRの名物企画「Tiny Desk Concerts」に出演した映像はもうご覧になりましたか! とても素敵なパフォーマンスでしたね。観ていて自然と口角が上がっていることに気が付きました。脳みそからじゅんじゅわあとハッピージュースが分泌されていたように感じます。きっと血行も良くなっていたはず。 2017年、民謡クルセイダーズのことがとても気になっていた折、ピーター・バラカンさん主催のLive Magicで共演する機会がありました。そこの物販で『民謡しなけりゃ意味ないね』という5曲入りのCDを購入しました。曲目を見ると「会津磐梯山(ラテン)」、「安来節(エキゾボレーロ)」というようにリズムの種類が書いてあったのが印象的でした。土埃が舞うような「串本節」のダーティーでファンキーなアレンジはクンビアが下敷きになっているのか…… といった具合に教育を受けたのでした。
クンビアを再び意識することになったロス・ビッチョスとの出会い
そういう意味では、民クルは民謡をぐっと身近にする存在であると同時に、わたしにとってラテン音楽の紹介者でもありました。一粒で二度美味しいとはまさにこのことではありませんか。 その後、クンビアというキーワードを再び意識したのは、ロス・ビッチョスというロンドンのバンドに出会ったときのことです。デンジャー・マウスか誰かのプレイリストに入っていたのがキッカケとなり、その存在を知ったと記憶しています。曲は「Pista(Great Start)」だったと思われます。 気になってMVを見てみると、このトロピカルなエレキインストを演奏しているのが、タランティーノの監督の『デス・プルーフ』から飛び出して来たかのような風体の女性たちだったことに衝撃を受けました。わちゃわちゃしていてとても楽しそうです。あまり気取った様子がありません。それでいて野暮ったくもない。そこにぐっときました。