育成の星 ロッテ・西野が激白「僕の勝ててる理由」―独占インタビュー
――それでも4年間は長い。単なる美談では語れないでしょう。 「実は、昨年の秋に親に『このオフに選手登録されないなら、もう我慢できないから本当に辞める』と伝えていました。二軍のシーズンが終わって、もし『もう1年育成で』と言われていたら、かなりの確率で辞めていたかもしれません。育成2年目から周囲からは『もう出場登録されるだろう』と言われていたのですが、3年目も4年目も育成のままでした。出場登録されている選手を見ても『オレは負けていない』という人もいたし、結果は出ていないけれど、チャンスさえ継続してもらえれば、やれる手応えがあったんです」 ――もし千葉ロッテを退団していたら? 「12球団のトライアウトを受けていたでしょう。『もっとチャンスのあるチームがあるんじゃないか』と思っていた。トライアウトの結果次第では、海外もあったのかもしれません。でも、野球は捨てる気はなかったので他の職業は考えていませんでした」 ――初の1軍登録から7勝まで来ました。今シーズンの目標は修正していますか? 「このままローテーを守りたいですね。1勝、1勝しか考えていませんが、周囲が10勝はいけると言うので(笑)、最低10勝はしたいです。一個、一個を積み重ねて、貯金の作れる投手でいたいと思います」 ――ライバル意識を持っている選手はいますか? 「できたら、今年の同じ年の大卒の人には負けたくないですね。『大学の4年と僕の育成の4年と、どっちが強いんだ』と。そういう気持ちです。今、結果が出ているから言える言葉なのかもしれませんが(笑)」 ――伊東監督は「西野は、今のうちの中では安定している投手」と言っています。監督やチームから信頼を受けていると思いますか? 「僕は、まだなにも感じていません。まだ僕の中では、信頼よりも、自分の立場をアピールする方が強いんです」 ――7勝して、まだアピールを? 「育成時代にファームで、上で結果を残した人が落ちてくると、例え下のゲームで打たれても、二軍で調子のいい投手を差しおいて上に引き抜かれるんです。1軍で結果を残した投手の方がチャンスがある。だから、今、一軍で結果を出しておけば、これから先下に落とされた時にもチャンスが残るじゃないですか? この世界で生き抜くために、今、結果を出しておきたいんです」 次回は、西野投手の考えるピッチング哲学についてのインタビューを掲載します。 (文責・本郷陽一/論スポ) にしの・ゆうじ 1991年3月6日、富山県高岡生まれ。新湊高校時代には甲子園出場はなかったが、2008年の育成ドラフトで5位指名。4年間は育成契約のまま。2012年秋に選手登録された。182cm、82kg。