消費税減税、景気対策としては愚策である大きな2つの理由
減税をすることで、無用な景気変動が4回も生じる
新型コロナ不況への対策として消費税を引き下げるということは、たとえば2年の時限立法となるのでしょう。そうなると、困ったことが生じます。 消費税率が下がる前には「買い控え」が発生し、下がった後には反動増が発生します。2年後に減税が終了する前には通常の消費税率引き上げ時と同様に買い急ぎが発生し、終了後には反動減が発生します。つまり、2年強の間に不必要な景気の波乱が4回も引き起こされるわけです。 そこまでして消費税率を引き下げるくらいであれば、所得税減税や10万円一律交付の方がまだマシです。本当に必要な人に恩恵が及びにくいという点は同じですが、不必要な景気の波乱は発生しませんから。
旅行需要等の確保も忘れずに
ベストなのは、感染拡大を防ぎながら旅行需要等を確保することです。そのためには、Go To キャンペーンの適用範囲を慎重に検討する必要があります。 非流行地から非流行地への旅行については、Go To キャンペーンを続ければ良いでしょう。非流行地から流行地への旅行についても、本人が気をつけるでしょうから、Go To キャンペーンを続けても感染拡大は限定的でしょう。 問題は、流行地からの旅行です。旅行先の人々が自衛策を講じることが難しいので、これについてはGo To キャンペーンを停止することもやむを得ないと思われます。Go To キャンペーンについては拙稿『Go To トラベルの制限は流行地発だけにすべき』をご参照いただければ幸いです。 本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。 <<筆者のこれまでの記事リスト>>
塚崎 公義