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男女間のフェミニズム論争を招いた「82年生まれ、キム・ジヨン」が残したもの

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日刊ゲンダイDIGITAL

【奇妙?単純? 韓流の方程式】#1  昨年、韓国で一本の映画が論争を巻き起こした。その映画とは「82年生まれ、キム・ジヨン」。原作となった小説には韓国の女性たちが日常的に受ける差別や生きづらさが描かれ、“フェミニズム小説”とも称されている。  韓国にフェミニズムの波が押し寄せたのはここ5年のこと。大きなきっかけは「江南通り魔殺人事件」といわれる。駅近くのトイレで20代の女性が見知らぬ男に刺殺されたのだ。「日頃から女性を憎んでいた」という犯人の供述に、多くの女性はミソジニー(女性嫌悪)が殺人の動機ではないかと感じた。  小説「82年生まれ、キム・ジヨン」は事件から数カ月後に発売される。これが130万部の大ベストセラーとなり、2018年に発売された日本でも16万部を突破した。ただし韓国では、男性たちの批判が根強い。  韓国の男性には“兵役の義務”がある。厳しい軍生活を経験し、社会に出るのは遅れ、それでも結婚すれば家族を養う立場だ。男性たちにも被害者意識があり、一方で行き過ぎたフェミニズムに反発する女性たちもいる。  小説が発売された頃、韓国では朴槿恵大統領(当時)の退陣デモが行われており、フェミニズムの波に乗った女性たちの多くがデモに加わった。皆、必死に時代を変えようとしたのだ。  こうした女性たちの支持もあって文在寅政権が誕生し、小説の日本語版カバーには「文在寅大統領もプレゼントされた!」と紹介されている。だが文政権が発足すると今度はMeToo運動が巻き起こり、大統領の後継者が告発され、政治生命を絶たれる始末。韓国のMeToo運動は次第に激化し、セクハラを告発されて自殺した有名俳優もいる。  小説の映画化が決まると、ネット上ではすぐさまフェミニズム論争が勃発し、主演女優に対する失望の声も少なくなかった。まさに映画を支持する女性たちと、反対する男性たち。激しい論争が繰り広げられたが、映画は367万人もの観客を動員するヒット作となり、9日から日本でも公開されている。  少し前に自民党の杉田水脈議員が「女性はいくらでも嘘をつける」と発言した上、「そんな発言はしていない」と自ら嘘をついた。ここが韓国ならただでは済まない。良くも悪くも、今や韓国は我慢しなくなった女性たちの声が政治にも影響を及ぼしている。女性が泣き寝入りしていた時代は、今は昔なのだ。 (児玉愛子/韓国ウオッチャー)

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