甘味などの味を感知するのもタンパク質の働き!?意外と知らない「タンパク質の働き」とは?
あまり知られていないが、タンパク質には味を感じる機能や、不調や睡眠の質を改善させる作用などもある。タンパク質の働きを知れば知るほど、不足しているといかに残念かわかる。今回は、味覚・不調・睡眠の質に関係するタンパク質の働きを女子栄養大学栄養学部教授上西一弘さんに教えてもらった。
甘味などの味を感知するのもタンパク質の働き!
あまり知られていないが、味を感じるのもタンパク質の機能のひとつ。 「舌表面には、味を感じるための味細胞があり、その表面にあるのが“受容体タンパク質”です。この受容体タンパク質が、甘味、苦味、旨味などの特定の味の物質を受け取ると、その情報を電気信号として脳細胞内部へ伝え、これによって味を感じるのです」(上西先生)
ラクトフェリンなど不調を改善するタンパク質も!
また、タンパク質の中には、不調を改善させる作用があるものも。 「そのひとつが母乳などにも含まれるラクトフェリンで、内臓脂肪を低減する作用などがあることがわかっています。市販のヨーグルトなどでもとることができます。もうひとつが、牛乳などに含まれるMBP(R)。骨を丈夫にする作用があり、保健用食品などで摂取できます」
睡眠の質を高めたければアミノ酸「グリシン」を
睡眠の量と質を改善するといわれているのが、アミノ酸の“グリシン”。 「グリシンをとると足の表面体温が上昇して熱の放散が促され、それにより深部体温がスムーズに下がるので、寝つきやすくなります。また、グリシンにはすみやかに深い眠りに到達させ、眠りの深い時間を増やす効果も。エビや帆立、カニ、イカなどに含まれます」 知れば知るほど心身の健康にかかせないことがわかるタンパク質。次回は1日に必要な量や効果が高まる栄養の組み合わせなど、タンパク質をきちんと働かせるための、正しいとり方をご紹介しよう。 今回の話を伺った先生 上西一弘さん 女子栄養大学栄養学部教授。大学のゼミでは選手のパフォーマンスが上がり、勝てる体をつくるためのスポーツ栄養学を研究し、指導にあたる。著書に『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』(池田書店)など イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/和田美穂