【英国庭園5周年】絆を強める契機に(5月18日)
本宮市のプリンス・ウイリアムズ・パーク内の英国庭園が開園五周年を迎え、二十八日に現地で記念式典が行われる。開園をきっかけに市は中学生を派遣するなど、英国との友好・親善を深めている。庭園内の木々が成長し、草花が美しく咲くように、英国庭園を拠点とした国際交流がさらに発展するよう願う。 現地には二〇一五(平成二十七)年、英国のウイリアム王子が東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興支援のために訪れ、記念植樹した。市は英国大使館の許可を得てプリンス・ウイリアムズ・パークの愛称を掲げた。二年後、一角に英国庭園が開園し、市民ばかりでなく県内外から集まる愛好家を楽しませている。 小さな苗の状態で植えられたバラは、しっかりとアーチに絡みついて天井部分にまで枝葉を伸ばしている。ボランティアが手入れに励む草花も季節ごとに美しい花を咲かせる。ウイリアム王子やチャールズ皇太子、テリーザ・メイ元首相らのメッセージを刻んだ記念碑も立ち、英国との交流の象徴となっている。
この五年間、庭園の進化とともに人と人の交流が広がってきた。市は庭園の開園から三年間、三つの中学校の生徒をロンドンに派遣した。三年目には、現地の学生とお互いの文化を学び合ったほか、帰国後も英語による文通やビデオレターなどで友情を育んでいる。 中学時代に国際感覚を養うこうした経験は貴重だ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、ロンドンからの学生の受け入れや新たな中学生の派遣は「休止」状態となっているが、渡航が可能になれば交流の再開を望みたい。再開の際に生徒や保護者が不安を抱かないよう、県国際交流協会はじめ関係団体が正確な情報を提供することも必要だろう。 英国庭園はロンドンのホーランドパーク内にある福島庭園と姉妹の関係を結んでいる。福島庭園は、震災と原発事故の際に英国から受けた支援への感謝と末永い交流を目的に造られた。ロンドン五輪に合わせて開園し、今年が十周年となる。現地にはシャクナゲやシダレザクラなど縁のある花木が植栽されている。本宮市の高松義行市長と中学生が植えた市の木「まゆみ」も元気に育っている。
本当の絆を強めるには、それぞれの地を訪れる相互交流が欠かせない。二つの庭園で重なる五周年と十周年の記念の年は、新たなつながりを探り、深めていくきっかけとなってほしい。(安斎康史)