マイナ保険証一本化 医療現場で不安の声も、和歌山県
マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせる「マイナ保険証」への移行が本格化する。12月2日から従来の健康保険証は新規発行を停止する。国は薬の処方歴のスムーズな確認など利点を強調している。一方で、慣れない機器を利用することに医療現場からは不安の声も上がっている。 【回答9割超が反対 12月の現保険証廃止、和歌山県保険医協会の記事はこちら】 和歌山県田辺市内のある医療機関では受付にマイナ保険証の読み取り機を設置し、ポスターを張って知らせているが、受診者は高齢者が多く、利用はほとんどないという。「これまで顔認証がうまくできず、暗証番号も覚えていない人がいた。それを考えれば、混乱し、かなり手間がかかるのではないかと不安だ」と話す。 従来の保険証の廃止について、県保険医協会の調査では、アンケートに答えた加盟医療機関の約6割に当たる66機関が「今も混乱しており、廃止後は受け付け業務に忙殺されると思う」と回答している。 当面の間は、現行の健康保険証も使える。期間が終わっても、加入する健康保険から送られる「資格確認書」があれば、最長で5年間は保険診療を受けられる。 ■利用率まだ11% 厚生労働省によると、10月末時点のマイナンバーカード保有率は全国で75・7%、うち82・0%が保険証の登録をしている。ただし、医療機関や薬局でのマイナ保険証利用率は15・67%。和歌山県は11・22%で、沖縄県に次いで全国で2番目に低い。 カードは所有しているが、保険証登録はしていないという田辺市湊の女性(73)は「現状はあっても、なくてもどちらでも対応してもらえるので、あえて登録の必要性を感じない。困ったら考える」と話す。 登録している人でも「普段携帯していないので、使ったことは一度もない」といった声があった。 県国民健康保険課は「カード自体にプライバシー性の高い個人情報が入っているわけではない。安心して携帯してほしい。今後もホームページや広報紙を通じ、周知を図りたい」と話している。 カード自体を持っていない人も2割強いる。田辺市明洋2丁目の男性団体職員(47)は「カードがなくても不便はない。取得予定はない」と話す。取得を考えている人の中でも「オンラインで手続きしても、結局役所に取りに行かないといけない」と手間を敬遠する声があった。
紀伊民報