あのトミーカイラZZに試乗!──連載:自動車メーカーになった男 番外編
連載記事「STORIES OF A CAR GUY」でのトミーカイラのZZの開発ストーリーの番外編として、現代目線でのZZの紹介と試乗インプレッションをお届けしたい。著しい進化を遂げる自動車の世界において、ZZはいま乗ってみると、果たしてどうなのか? 【写真を見る】これがトミーカイラZZのディテールだ!
ZZを週末の京都で試乗してみて分かったこと
日ごろから700馬力だの800馬力だのという電子制御の効いたモンスターばかりに乗っていると、ついつい“基本的な運転作法”がおろそかになってしまいがち。そんなときボクは京都に戻ると自ら進んで“リハビリ”と称するドライブにでかける。トミーカイラZZ(もしくはヌォーバ・チンクェチェント)と向き合うのだ。 つい今朝方(7月のとある週末)も、“朝飯前”に思い立ち、ガレーヂからZZを引っ張り出した。本サイトでもお馴染み、カーガイ連載の主役でありトミーカイラを立ち上げた富田義一氏本人から長期で預かっている赤い個体である。 ルーフを付けた状態ではドアがあるとはいえ乗り込むのにもひと苦労する。ちょっとしたコツも必要だ。左足をまずフロアに入れ、オシリから身体をもぐり込ませて、最後に右アシをドアとボディの切れ目に沿って引っ張り込むようにして座る。否、乗り込んだのはいいけれど降りるのがまた面倒で、海老のように身体を畳まなければ出ることができない。今回はまだギリギリ抜け出せたからよかったけれど、これ以上腹が出てしまうと乗降にも差し障りが出てしまいそうだ。メタボ進行の健康チェックだったりもする。 それにしてもスパルタンなコクピットだ。シボ加工のないダッシュボードフェイシアはかえって新鮮で、これでいいじゃないかと思わせる。シボを入れると大変なコストアップになるのだ。おかしな話だ、あんな妙な柄(プラスチックなのに革っぽいという)を未だに有り難がっているだなんて! MOMO製のステアリングホイールは“コルセ”で32パイ。ZZと入った専用のホーンボタンが付く。エアバッグどころかスイッチひとつ付かない昔のハンドル。シンプルでいい。 アルミ板のダッシュパネルを見れば、それぞれにトミーカイラロゴの入った大小の六つのメーターが並んでいる。黒字にオレンジの目盛りや文字がとても小さく、老眼にはほとんど見えない。確かZZとは爺(じじい)の意味だったはず……。