「出産や生理を経験したら地獄に?」 カンヌ映画祭でフランス人が驚愕した 映画『化け猫あんずちゃん』の秘密
フランス側から提案があった“ピエール・ボナール”がヒントに
──今回は、フランスのスタジオ「Miyu Productions」もアニメ制作にかかわっています。これは、どういう経緯ですか? 2018~19年頃だったと思うんですけど、Miyu Productionsから、私の作品に興味があるから何か一緒につくらないかと、個人的に制作のお誘いをいただいたんです。まさか自分がフランスのアニメーション会社からお声がけいただけるとは思っていなかったので、すごくビックリしたんですけど、ちょうどその頃『化け猫あんずちゃん』の企画が上がった頃で。自分としてはあんずちゃんをやりたかったけれど、なかなか企画が進まなかったので、「いまこういう企画を進めているんですけど、一緒にやりませんか」って逆提案したんですよ。そうしたら「すごく面白い」と興味を持っていただけて、そこからあんずちゃんの企画も動き始めました。 ──Miyu Productionsとの役割分担はどのように。 実写撮影とキャラクターの作画は日本側で行い、背景美術と色彩設計をMiyu Productionsが担当する、という体制で制作を行いました。 Miyu Productionsの美術監督のJulien De Manさんは、ジブリの『レッドタートル ある島の物語』の美術担当もされている方です。作品によってトーンを変え、その作品の持ち味を最大に引き出してくださるのが特徴で、今回はあんずちゃんの企画を観た時に、ポスト印象派のピエール・ボナールの絵がイメージにあるとご提案くださり、そこからイメージがふくらんでいきました。 原作はモノクロなので、私はご提案を聞くまでモノクロのイメージしかもっていなかったんですけど、出していただいたカラーイメージを観たら、すごく夏らしい綺麗な色彩で感動しました。 線がふにゃふにゃやわらかい感じもあんずちゃんのゆるいキャラクターイメージにぴったりで、自分にはなかったイメージを引き出していただけて、さらによい作品へと向かっていくことができたと思っています。