<高校野球>「1試合だけでもありがたい」 夢の甲子園に感謝の声 センバツ交流試合
新型コロナウイルスの影響で中止となった第92回選抜高校野球大会出場校の野球部員たちを「甲子園」での試合に招待する「2020年甲子園高校野球交流試合(仮称)」の開催が10日決まった。既に夏の甲子園大会も中止が決まっており、春夏の夢舞台を失った選手たちへのせめてもの贈りものとなった。 【センバツ32校が8月に交流戦】 ◇「多くの人の協力をかみしめて」山梨学院 2年連続4回目のセンバツ出場を決めていた山梨学院(山梨)のグラウンドでは10日夕、吉田健人部長が集まった部員たちに交流試合の開催を伝えた。吉田部長は「与えられた機会を楽しんでほしい」などと語りかけ、選手たちは真剣な表情で耳を傾けた。 㓛刀(くぬぎ)史也主将(3年)は「1試合だけでも甲子園で試合ができるのはありがたい」と感謝。吉田洸二監督は「生徒たちは、多くの人たちの協力で甲子園に立たせてもらえることをかみしめ、感謝し、いつか恩返しできる人間になってほしい」と期待を込めた。 ◇「腐らずやればよいことがある」静岡・加藤学園 センバツに初出場する予定だった加藤学園(静岡)の部員たちも、交流試合開催の一報をかみしめた。10日夕の練習開始前、米山学監督がグラウンドに集まった部員たちに「腐らずにやればよいことがある。周囲の思いに応えよう」と呼びかけた。 勝又友則主将(3年)は「いろいろな人たちのおかげで甲子園でのプレーがかない、感謝したい」。主戦の肥沼(こいぬま)竣投手(3年)も「甲子園を諦めきれなかった。自分のピッチングが通用するか試したい」と意欲を見せた。【金子昇太、深野麟之介】 ◇「感謝を胸に1試合に心込める」東京・国士舘 新型コロナウイルスへの警戒を呼びかける「東京アラート」が出ている東京の国士舘は10日夕、文書でコメントを出した。 永田昌弘監督は「一度は諦めた甲子園球場での試合の機会をいただき、心からうれしく思います」と率直に喜んだ。岩渕公一校長も「熟慮を重ねた結果のご判断」とした上で「出場に向けた万全の対策を検討してまいる所存です」と、安全対策の徹底を強調した。 3年生部員は学校再開翌日の今月2日、短時間ながらグラウンドでの練習を再開した。永田監督は「都代表としての誇りと、これまで支えてくださった方々への感謝を胸に、その1試合に心を込めて臨みたい」と結んだ。【川村咲平】