羽田発着の欧州路線が新たに就航。ミラノ、ストックホルム、イスタンブール‥‥狙うは航空貨物
全日本空輸(ANA)は現行の冬季スケジュール(来年3月29日まで)で、新たに羽田発着の欧州3路線に旅客便を就航させる。3日からイタリア・ミラノ線の運航を開始するのを皮切りに、来年1月31日にはスウェーデン・ストックホルム、同2月12日にはトルコ・イスタンブールへの就航を予定。いずれも旅客便のベリー(床下貨物室)を活用し、各国発着の輸出入貨物を取り込む。 3路線はいずれも羽田の国際線発着枠が増えた2020年に開設予定だったが、新型コロナウイルス禍で延期していた。 3路線でとりわけ貨物需要を見込めるのが3日就航のミラノ線。ANAの就航は羽田発としては初となり、火・木・日の週3往復で運航する。ミラノ線は現地発で高級ブランド品などのアパレル関連品や自動車関連、医薬品、生鮮品などの搭載需要を見込む。 ミラノで起用する現地上屋は国際航空運送協会(IATA)の医薬品輸送品質認証「CEIVファーマ」を取得済みで、医薬品専用スペースを設けるなど医薬品の取り扱い環境が優れる。トラック転送を活用してフィレンツェやローマ発の貨物も取り込む。羽田発でもアパレル・繊維関連や自動車部品などの輸出需要を見込んでいる。 ストックホルム、イスタンブール線も来年からそれぞれ週3往復で就航予定。日本発着の航空貨物市場としてはミラノほど大きくないが、それぞれ一定の貨物需要を見込む。ストックホルムは日本―スウェーデン間で唯一の直行便で、北欧諸国への玄関口に位置することから、スウェーデンだけでなく、ノルウェーやデンマーク、フィンランド発着の搭載需要も取り込む。イスタンブール発では自動車関連や衣類などを中心に、日本はじめ幅広くアジア向け貨物の取り扱いを目指す。 ■羽田貨物、過去最高 羽田空港はコロナ禍の旅行需要の激減で国際線旅客便の大半が運休。22年前半まで旅客数・貨物量とも低迷したが、その後は旅客便の復便が加速した。ビジネス渡航需要が高い欧米線を中心に旅客便が成田から移管され、20年3月に予定されていた国際線発着枠拡大による各社の新規路線も開始。23年度の羽田全体の国際線発着回数は10万回超で過去最高だった。 国際旅客便の増加で、貨物需要が高い欧米向けのベリースペースも拡大。羽田全体の国際貨物量は今年1―10月の累計が58万トンと、18年の60万トンを超えて過去最高を更新することが確実だ。直近の10月の貨物量はひと月の過去最高を更新して6万3842トンだった。
日本海事新聞社