「負けても負けても取材を受け続けた」DeNA初代監督・中畑清が勝てなくても貫いた信念「お客さんの入らないチームは絶対強くならないんだ」
ベイスターズが“史上最大の下剋上”を果たした日本シリーズ第6戦、中継放送席にいたDeNA初代監督・中畑清。勝利を目前にした9回に、明らかに涙声になる様子が話題になった。著書の『ベイスターズ再建録』でも中畑のロングインタビューを行ったライター・二宮氏が、あの涙の真意を直撃したNumberWebインタビュー。〈全2回の後編/前編はこちら〉 【写真】「ムキムキ裸体だぜ!」「ゼッコーチョー!」なぜこんな写真が!? ビックリすぎる現役時代のキヨシ秘蔵写真&古希の今も絶好調な様子&ベイスターズ日本シリーズ激闘のすべてを見る キヨシ~。 古希の中畑清に、ハマスタからファーストネームでの声援が飛ぶ。初代監督はうれしそうに手を振って応じる。 「いくつになってもキヨシコールが出てくるのはうれしいよ。それが俺の野球人生。小学生にキヨシと言われたら、『スタンドではいいけど、本人を前にしたら中畑さんって言うんだよ』って一応教えるけど(笑)」 日本シリーズ第6戦の始球式。監督時代と同じ、年齢と同じ「70」の背番号を身につけて大役を終えると、そのボールをスタンドに投げてプレゼントするのもこの人らしい。グラウンドから3万3000人をのみこんだスタンドを見上げた光景は、実に壮観だった。
グラウンドとスタンドが一体化していた
優勝直後にキヨシが「いろいろこみ上げて」涙した理由の一つは、グラウンドとスタンドが一体化する、自分が夢みた景色がそこにあったからだった。 中畑は熱く語る。 「スタンドとグラウンドが一つになっていく空気感。プロ野球ってどういうものなんだって考えたとき、オーナーの南場(智子)さんもそれを願っていたんじゃないかな。あの満員のスタンドを見ていると、鳥肌立ったもん(笑)。勝ってそれをできるっていうのが本当の強さだし、本当のプロ野球のチームが目指す姿よ。かっこつけたって勝たなきゃダメよ。かっこつけてないけど、俺は勝てなかった。あの優勝は、ファンにそれを提供できた最高の瞬間。俺は喜びのど真ん中にいさせてもらった。幸せだったよ」 再び目頭を熱くしそうな勢いだった。 こんな日がやって来るとは――。 1998年の日本一以降、ハマスタは閑古鳥が鳴くようになっていた。DeNA体制になって中畑が初代監督としてやってくる前年の2011年シーズンの主催試合観客動員数は年間110万人にとどまり、12球団のなかで最低の数字。座席稼働率は約5割で、空席が目立っていた。
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