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時空を超え愛される「墓の町」起源は不明、墓石2万基の圧倒的眺め 「にぎやかで楽しい」と言われる理由

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日本海に面した、風光明媚(ふうこうめいび)な観光地・鳥取県琴浦町。この土地に、起源も「成長」の経緯も、詳しいことがわからない巨大墓地があります。しかし地元民たちには、子どもの遊び場や、先祖の面影をしのぶ聖域として親しまれてきました。そして近年、お盆の時期にしか見られない「圧巻の眺め」が、にわかに知名度を高めているというのです。謎多き名所の魅力について、大きな物を撮り続ける写真家・半田カメラさんにつづってもらいました。 【画像】怖いはずなのに、なぜか優しい…大海原に包まれ眺める、石灯籠の淡い明かり 墓地のイメージが覆る

「成長」し続けてきた謎の巨大墓地

2年前、お盆真っただ中の8月14日、私は鳥取県の中心部に位置する琴浦町に宿を取っていました。親戚や友人が住んでいるわけではありません。どうしても見たい光景があったから。それはお盆の時期にだけ見ることができる、あの世と見まがうほどの絶景です。 琴浦町赤碕の海岸沿いに位置するのが「花見潟墓地」。東西349メートル、南北19~78メートル、面積約2万平方メートルという広大な敷地に、2万基を越える墓石が並んでいます。 これらの墓石を囲むような形で、同じくらいの数の石造りの灯籠(とうろう)が立っています。お盆の夜にはともしびが輝き、暗闇に無数の明かりがともる、幻想的な景色が出現するのです。タイのチェンマイでは、天燈(熱気球)を夜空に放つ「ロイクラトン祭り」という仏教行事が催されています。私はひそかに、それに匹敵する、圧巻の眺めではないかと思っています。 ところで、花見潟墓地の起源については、地元にも明確な情報が伝わっていません。周辺の寺院からご遺体が収められるうち、数百年かけて規模を拡大。いつしか、現在のような形に「成長」したのだといいます。

暗闇に浮かび出る幻想的な明かり

私が琴浦町に入ったのは、日も暮れかかった夕刻のこと。急いで宿に荷物を預け、カメラと三脚を担いで花見潟墓地へと向かいました。見えてきたのは圧巻の光景。どこまでも見渡す限りの墓、墓、墓。前を見ても、後を見ても墓。右を見ても、左を見ても墓です。何も知らずにこの場所に立ち入ったなら、「墓の町」に迷い込んだと錯覚してもおかしくないでしょう。 延々と続く墓石の波に圧倒されているうちに、辺りが薄暗くなってきました。同時に灯籠に一つ、また一つと明かりがともされていきます。こうしてはいられないと、私は急いで墓地全体が見渡せる高台へと移動しました。 眼下に広がるのは、カメラの画角に収まり切らないほどの広い土地。そして無数の光が、まるで蛍が現れるようにともっていきます。この世とあの世の狭間にいるような、何とも不思議な感覚に包まれながら、私は暗くなるまで夢中でシャッターを切り続けました。

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