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「世界知る手伝いできた」 熊本市の旅行用品店 コロナで40年余の歴史に幕 

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熊本日日新聞

 熊本県庁前で40年余の歴史を刻んだ海外旅行用品の専門店「渡航サービスセンター」(熊本市中央区)が、今月いっぱいで閉店する。まだ外国が遠い存在だった時代に、数多くの県民の旅をサポート。新型コロナウイルスの影響で旅行環境が激変する中、大麻[おおあさ]勇幸社長(82)は「多くの人が世界を知るお手伝いができた」との感慨を胸にのれんを下ろす。  玉名市出身の大麻さんは1973年、脱サラして福岡市に海外旅行用品店を開設。戦後の経済成長で「一億総中流」と言われ、海外旅行が普及するのを見越して決断した。だが同じ年の第一次オイルショックのあおりで倒産。その3年後に再挑戦を期して、現在の場所に店舗を構えた。  まだ海外旅行に必要なグッズや情報が十分でなく、外国で電化製品を使うための変圧器や変換プラグ、スーツケース、パスポートを収納できるベルトなどを取りそろえた。需要を掘り起こそうと、外国人留学生と日本人の交流の場もつくった。

 特に力を注いだのはパスポート取得のサポート。窓口の県庁に近い利点を生かし、申請に必要な書類の作成や顔写真の撮影などを請け負った。料金をもらったのは写真代だけで、「手続きが楽になれば旅行需要が増えると考えた。日本中探しても、うちのような会社はなかった」。  市外にも出張し、多い年には3万~4万人の利用があったという。修学旅行の高校生にも申請書類の書き方を講義し、「帰国後にお礼の手紙をもらった時はうれしかった」。  その後、旅行商品やグッズの取扱店が次第に増え、パスポートの受付窓口も増加。海外旅行が身近になるにつれてセンターの仕事は減っていったが、「やりくりしてなんとか経営を続けてこれた」という。  閉店を決めたのは、新型コロナの世界的大流行で「今後の見通しが全く立たなくなった」ため。これまで続けられたのは「お客さんや取引先、従業員のおかげ」と感謝する。  「島国の日本人が世界を知ることは、国際感覚を磨く上で欠かせない」と、海外旅行の大切さを強調する大麻さん。コロナ禍が収束した暁には、悠久の歴史を刻む中国を訪れたいと考えている。(中原功一朗)

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