松村邦洋 たけしからは「衣装200着」…大御所に愛される理由
その後は“俳優“ としての仕事も入り始めた。 「ちょい役ばかりですけど、西田(敏行)さんと共演させていただいた『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』(2003年)は思い出深い作品です。高知でのロケだったんですけど、夜は宴会で、飲んだ西田さんがずっとしゃべってるんです」 西田の声まねをしながら、宴会を再現してくれた。 「『松っちゃん、監督に言われたことは聞き流して、自分の好きなように演技をすればいいんだよ。いっぱいものまねもすればいいんだよ。掛布(雅之)さん、そうだ掛布さんをやっちゃいなよ』って言ってくださるんですけど、僕ごときが、そんなことできませんって(笑)。 翌日、撮影しているところに西田さんがいらっしゃって、端っこから『掛布さん、松っちゃん、掛布さん。あ~、も~。なんでやらないの』って、つぶやくんです(爆笑)」 松村のものまねレパートリーは、本人すら「どのくらいあるのか、わかりません」と言うほど多い。一説には3000を超すともいわれている。 「僕の場合は、『この俳優さん、いいな』と思うところから始まります。そして僕の声質と、その方の声質が似ているかどうかですね。そこからは、その方が出演したドラマや番組を何回も見て練習します。 ものまねの練習は苦痛ではないですね。野球選手もバットスイングの練習はきついと思うんですけど、野球が好きだから楽しいんじゃないでしょうか。それと同じで僕も、ものまねが大好きなんです。 まねをした人から怒られたことは、今のところないですね。掛布さんは、最初テレビ局などで僕を見ると表情が険しくなりましたけど、すぐに『僕のまねをするんですよ』って周囲を笑わせてくださいました。 津川(雅彦)さんには、『西田ちゃんのまねは似てるのに、僕のは全然似てないね』と。一方、西田さんは、『津川さんはあんなにそっくりなのに、僕のものまねは似てないねぇ』と。 たけしさんには、本当によくしていただきました。番組終わりに『ちょっと来いよ』と車に乗せていただき、ご自宅へ。『おまえいつも同じ衣装着てるな。俺のものまねをやるなら、もっといい服を着ろよ』って衣装を200着くらいいただきました」 周囲にかわいがられる松村。その理由は、松村の仕事に向かう姿勢にあるのだろう。 「僕は、自分から『やめる』『断わる』というのが嫌なんです。だから高校の卒業も、4年かかりました。 お仕事の依頼がくるのも『自分が試されている』と思っています。個人的には、いただいたお仕事は全部やります。その後に仕事をまかせるかどうかの判断は、先方がすればいいことですし。あ、でもお断わりした仕事がありました。スカイダイビングとバンジージャンプです(笑)」 最近、YouTubeデビューをした。 「テレビだと僕以外にタレントさんも大勢いるから、長くしゃべることができません。YouTubeは自分を軸にして自由にしゃべれるからおもしろいし、ありがたいですね。 僕、1967年生まれなんですが、その年代の人がどういう時代を歩んできたのか振り返る企画を作ってみたいです。それとテレビでは企画にできないものにも挑戦したいです。たとえば『思い出の風俗ベスト10』とかですね。僕は失礼な人間ですけど、これからも失礼のないように生きていきたいです(笑)」 松村の誠実さと気づかいにふれた90分だった。バウバウ。 まつむらくにひろ 1967年生まれ 山口県出身 『アッコにおまかせ!』(TBS系)などにレギュラー出演中。趣味は、「有望なアマチュア野球選手を阪神に勧誘すること」。公式YouTubeチャンネル『松村邦洋のタメにならないチャンネル』で動画配信中 【SHOP DATA/居酒屋 あぶさん】 ・住所/東京都新宿区四谷3丁目12番地 サワノボリビル地下1階 ・営業時間/18:00~24:00 ・休み/月曜日 (週刊FLASH 2020年10月27日号)