シンプルでモダンな信頼できる家具に囲まれた織物作家の家|デンマーク【北欧各国、クリエイターの住まい】
北欧を拠点に活躍するクリエイターは、どんな部屋に暮らしているのか。インテリアデザイナーからブランドのファウンダー、ギャラリストまで、北欧各都市、今をときめくクリエイターたちの部屋を訪ね、ドキュメントしました。 【フォトギャラリーを見る】 今回は、家具職人との交流豊かなテキスタイルデザイナー、カリン・カーランダーさんのテラスハウス。選ぶのは自身の作品にも通じるクラフツマンシップが息づく北欧家具。部屋は人となりだと、あらためて気づかせてくれます。 Area:コペンハーゲン Size:86平米 Type:テラスハウス
コペンハーゲン中心部から北へ向かって40分ほど。森の中の住宅地ウーホルムの一角、1939年に建てられたテラスハウスの1軒が、織物作家でテキスタイルデザイナーのカリンさんの住まい。中庭に面した大きな窓や天窓からたっぷりと自然光が入る、明るい家だ。
「2020年に購入してリノベしました。たとえば、玄関が暗かったから、キッチンとの間のドアは取り去り、地下への階段の位置も変えて、天井の梁をむき出しにしました」 ただし、すべて取り去ったわけではなく、元々ここにあった天窓は残した。自然光の取り入れ方が、カリンさんのインテリアのこだわりのひとつだからだ。
カリンさんが手がけるのは、一点物の手織り作品から、企業のテキスタイル デザイン。それに、デザイナーと家具職人の協働試作品の展示会を開催し、商品化を振興する財団〈SE〉のディレクターも務めている。その活動を通じて家具職人との交流があるから、自宅には自身のテキスタイルのほか、ヤコブセンやウェグナーなどのデンマーク家具、ご両親が集めた絵画やオブジェと、年代や産地が異なるものがバランスよく置かれている。
シンプルでモダンな北欧家具を選び抜く。
「いわゆるシンプルでモダンな家具が好きで、ジオ・ポンティやイームズなど他国のデザイナーにも惹かれますが、機能やクオリティを考えたら、北欧家具が多くなりました。特に家具工房の〈PPモブラー〉との付き合いが長く、ウェグナーの《PP85》や《PP56》は20年以上使っていますが、色褪せて見えないどころか、さらに魅力が増しています」
カリンさんにとっての家具は、良質の素材、機能性、感触の良さなどの要素を満たすもの。 「良い素材とシンプルなデザインならクラフツマンシップが活かせる。北欧家具には、私の織物との共通性があるのです」
photo_Maya Matsuura text_Chieko Tomita