「総額30億円」女性に貢いだ“紀州のドン・ファン”が死後に遺した2つの“訴訟”
ドン・ファンの若妻のその後
紀州のドン・ファンが急死したのは、2018年5月24日のことです。それから3年以上にわたって、死の真相をめぐって洪水のような報道がなされてきました。 急死から約3年が経過した2021年4月28日、事態は大きく動きます。この日、サエちゃんが殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で和歌山県警に逮捕されたのです。5月19日には、和歌山地検に起訴されました。 〈捜査関係者によると、県警が●●●●容疑者(※原文は実名)のスマートフォンの通信記録を調べたところ、事件前に覚醒剤について調べた形跡があったという。県警は●●容疑者(※原文は実名)が覚醒剤を入手したことを確認したといい、インターネットを通じて密売人とみられる人物と接触して購入したとみて、入手ルートの裏付けを進めている。〉(2021年4月29日付、朝日新聞) 今でも、ドン・ファンが突然死した日、何があったのか? 私にはうかがい知ることはできません――。この原稿を執筆している2021年12月現在、サエちゃんは容疑を全面否認し、黙秘を貫いているようです。 その日、私が外出した午後3時から7時までの密室の中で、サエちゃんとドン・ファンの間でどんなやり取りがあったのか? 最後の晩餐が、なぜキュウリやニンジンだったのか……。裁判を通じて、今後、真実が明らかになっていくのではないでしょうか。 4000人斬りを成し遂げ、女の子に総額30億円をつぎこんだ紀州のドン・ファンは、誰も予期せぬ形で波瀾万丈の生涯を終えました。 その死の真相は何だったのか? 最後の最後までドン・ファンに仕えきった家政婦として、今はただただ裁判の行方を見守ることしか私にはできません。 ※編集部注 2024年12月12日和歌山地裁は、裁判員裁判の結果、元妻に無罪判決を言い渡した。判決では、元妻には殺害を「疑わせる事情」があったと認めたが、殺害したとするには「合理的な疑いが残る」と結論付けた。同月24日、和歌山地検は判決を不服として大阪高裁に控訴した。
木下純代
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