大谷翔平にエンゼルス時代の恩師がエール「ゲームの脈拍に合わせ体が自然に動く。だから別次元」
<ドジャース7-2パドレス>◇26日(日本時間27日)◇ドジャースタジアム ドジャース大谷翔平投手(30)が、メジャー7年目で初の地区優勝を果たした。過去6年間、メジャーで二刀流の礎を築いたエンゼルス時代、20年から22年途中まで監督を務めた恩師ジョー・マドン氏(70)や元同僚が、世界一への夢に近づく大谷にエールを送った。【取材・構成=斎藤庸裕】 【写真】エンゼルス時代の大谷翔平とタッチを交わすマドン監督 ◇ ◇ ◇ 今、ショウヘイを見ていて幸せに思う。友人としても、彼のことがとても好きだ。だから、彼を思うとうれしい。毎晩、毎日たくさんのファンが詰めかける球場で、ドジャースは素晴らしい伝統もある。素晴らしいスタッフたちがそろっていて、これほどのアドレナリンを感じたことはないと思う。プレーの楽しみ方が変わったと感じる。 毎日、とてもうまく自己表現をしていて、日本のファン以外でも、世界中が彼を受け入れている。誰もが彼の成功を望んでいると思う。去年のWBCで優勝した時、最後の1球を投げてトラウトを三振に仕留めて、心が本当に加速するように動いたと思う。もっと、こういう試合がしたい、と。チャンピオンシップやプレーオフの雰囲気を経験したのは、その時が初めてだっただろう。アドレナリン、競争心、何かのためにプレーすること、そういうことが彼に必要だった。試合でよりいいプレーをするためのクスリみたいなものだ。 そんな彼も、2020年の時は、ひどかった。ストライクを投げることができず、すべて空回りしていた。打撃もうまくいかなかった。とても浮かない様子だったよ。考えすぎてしまう時のショウヘイは、そうなるのかもしれない。普段は、彼は考えすぎない人だから。過去の話を聞く限りでは、初めて(米国に来て)あれほどの失敗を経験していたんじゃないかな。 彼らしいことをするには、本当に野球の試合を愛していなければならない。情熱がないといけない。人生に、愛情を注がなければできない。彼は野球をプレーするにあたって、素晴らしい本能がある。バットを振ったり、ボールを投げたり、走ったり、自然な動きになっている。ゲームの脈拍に合わせて、体が自然に動く。だから別次元なんだ。 体の動き方、反応の仕方を知っている。日常的にやっているから、そういうことを考えなくても試合で反応できる。ほとんどの場面で、彼は精神的な部分に時間を費やしていると思う。次は自分がどういう動きでプレーするか、ではなく、次は何ができるかに焦点を当てている。それが彼の天才的なところだと思う。 私がエンゼルスを去った時、どれだけ楽しい時間を過ごせたか、離れることでどれだけ寂しくなるか、彼にも伝えたよ。そして、本当に、とてもすてきな返事をもらった。心からの温かいもので、感謝している。地区制覇を祝福したいが、ワールドシリーズ制覇が彼のゴール。それがかなうことを祈っている。 ◆ジョー・マドン 1954年2月8日、米ペンシルベニア州生まれ。捕手として76~79年までエンゼルスのマイナーでプレー。引退後はエ軍でマイナー監督、コーチなどを経て06年にデビルレイズ(現レイズ)の監督就任。08年に球団初のリーグ優勝。15年カブス監督に就任し、16年に球団108年ぶりの世界一。20年からエ軍監督を務めるが、22年6月に解任。通算2599試合で1382勝1216敗1分け。リーグ最優秀監督賞3度。