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政府、廃炉遅れに危機感 海洋放出「見切り発車」

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時事通信

 東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水をめぐり、政府は海産物などへの風評被害の懸念が根強い海洋放出の決定に踏み切る。  決断をこれ以上先送りすれば、原発事故からの復興の大前提となる廃炉作業に遅れが生じかねないと判断。放出に反対する漁業者や自治体の理解が得られないまま「見切り発車」を迫られた形だ。  処理水は現在、原発敷地内で約1000基のタンクに貯蔵。タンクの一部は廃炉作業で取り出す使用済み核燃料や、溶け落ちた燃料デブリの一時保管施設の建設予定地にも置かれている。タンクが満杯になる期限が約2年後に迫る中、関係者らは処理水の処分にめどが立たなければ「タンクを増設する敷地が必要になり、廃炉作業に遅れが出る」(東電幹部)と危機感を強める。  菅義偉首相は9月に福島県を訪問した際に「できるだけ早く責任を持って処分方針を決めたい」と表明した。原発が立地する双葉町と大熊町の議会は9月、住民の帰還など復興を進めるためには廃炉を急ぐ必要があるとして「早期に処分するよう求める」との意見書を可決。こうした立地自治体の意向も政府が方針決定を急ぐ一因となった。  政府は、処理水を十分に薄めれば健康被害の懸念はないと国内外に向けて説明してきた。しかし、海産物などへの風評被害については「どういう形で起きるか分からない」(江島潔経済産業副大臣)と述べるにとどめ、漁業関係者らの不安は募る一方だ。海洋放出を強行すれば関係者の反発は必至で、方針決定と合わせて十分な対策が求められる。 

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