「ええ~っ」「大山はドラ2で獲れたのでは…?」ドラフト会場では悲鳴も…6年前、阪神はなぜ大山悠輔を1位で指名したのか?
いい顔になってきたなぁ……と思いながら、画面を見ていた。 マウンド上には、10日前にノーヒットノーランを達成したばかりのDeNAの左腕・今永昇太。その低めの速球……145キロ出ていても、本人にはおいしいボールだったはずだ。 【写真】6年前のドラフト、人気1位・2位はこのピッチャーたちだった&ドラ1指名後、大学野球部員の騎馬に乗ってニコニコの大山悠輔も(全6枚) 日本人ばなれした雄大な放物線。この長距離砲にとって、最も快適に振り抜けるスイング軌道に、ピタリとはまるボールだった。 阪神・大山悠輔が放った打球は、甲子園球場のレフトスタンド上段にまで達していた。ちょっと横目気味に見上げる表情に、不敵なほほえみさえ浮かんでいるようにも思えて、すっかり「闘う男の顔」になった大山が頼もしく見えた。 ドラフト1位で阪神に進んで6年目。早くから打線の軸として期待が大きかった分、さんざん叩かれながら、ググッと頭をもたげてきた男の「意地」もはっきりと伝わってきた。 ペナントレースのスタートで最下位に沈み、どうなることかと憂慮された阪神。それが、ここに来て4位(以下、6月22日現在)にまで浮上。勝率5割のラインも見えてきた原動力の一翼を担ってきたのが、交流戦で7弾、ここまでチーム最多18本塁打を放つ大山悠輔だ。
「乗せたなぁ」白鴎大の大山悠輔が語っていたこと
高々とボールを持ち上げて、見えなくなるほど遠くまで運び去っていく……このバッティングスタイルを、白鴎大当時から、ずっと見てきている。 ホームランを打てる打者は少なからずいるが、打球にこれだけの角度と高さを与えられるバッターはなかなかいない。 タイガースの大先輩・田淵幸一捕手のスイングスタイルが例としてよく挙げられるが、すでにかなり以前のことで、その「実際」を目撃しているファンも少なくなっている。 最近の選手で本格的な「放物線」でアーチをかけられる和製大砲といえば……鈴木誠也がメジャーリーガーになってしまってからは、西武・山川穂高、ソフトバンク・柳田悠岐を挙げるほどだろうか。 打球を見ればバッターがわかる……そんな表現があてはまる数少ない長距離砲であることは間違いない。 「放物線の大山悠輔」に最初に驚いたのが、つくば秀英高から白鴎大に入学してしばらく経った頃。すでに1年生で三塁手としての定位置をがっちり手中にしていた。 栃木県小山市の郊外に造られた白鴎大野球場は、リーグ戦のメイン球場として使われるほど、立派な球場である。 あるリーグ戦のこと。天を突くような左翼ネットの、さらにはるか上空を飛んでいった大放物線は、学生が打った打球のように見えなかった。その打球を、当時の彼は「乗せたなぁ」と表現してくれた。 大学生当時の大山は、おだやかな笑顔と朴とつとした語り口の青年だった。 「たとえば、今日は思いっきり飛距離にこだわって打ってみようとか、最近ちょっと開き気味なんで右中間方向へ打ってみようとか、その時の調子や体調に合わせて、必ず“テーマ”や目的を持ったバッティング練習をするようにしているんです。黒宮(寿幸)監督にアイデアをいただきました。やってみると、そういう練習って面白いんです。打ち方のバリエーションが増えるので、複数の投手相手でも対応できる。実戦の打席ですごく余裕が出たり、狙いがすっと絞れるようになったり、野球がすごく面白くなってきてます」 「学生ジャパン」でも4番打者に抜擢された長打力と勝負強さは、どうやって培われたのか。 「ロングティーでつかんだ気がしてます。ボールの位置にバットを真っすぐ入れて、前で大きく振り抜く感覚。ボールとバットがくっついている時間を長くとるようなイメージですね。そういうイメージと体の動きを一致させるには、やっぱりスイングスピードを上げないと……。振り込んで、振り込んで、スイングスピードを上げていって……」 淡々と、気負うことなく、わかるように話してくれる。本人が自身の“今”をしっかり理解している証拠だ。 「ただ、自分としては、長打力以外にも、実戦での対応力とか修正力も見てほしいと思ってるんです。4番の仕事は、タイムリーを打つことですから」 こういう話になると、大山は目つきが変わった。 「わかってても低めの変化球に手を出してしまうことがあるんですけど、やっぱり、その次のボールですよね、実戦では。次のボールで、すぐ修正できないと、上のレベルじゃ通用しないですから」
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