投票所の張り詰めた雰囲気に抵抗がある──「政治に関心がない」というレッテルに異議、20歳・春名風花の主張
若者を「軽く見ている人」が多い?
──「若い人は政治に関心がない、選挙にも行かない」そんなレッテルを貼られることもありますよね? 「そこなんですよね。やっぱり若い世代に対して、軽く見ている人が多いというか、選挙に行ったって報告しても、『ちゃんと考えて入れた?』みたいなツッコミをされるんですよ。もう行きたくないってなっちゃうので、それはやめてほしいですね。選挙に行った、それだけで偉いって、そこをまず褒めてほしいって思うんですよ。“知らない”ことをばかにされるのって、怖いじゃないですか。そうされると、もう、や~めた、ってなっちゃう。若い世代の投票率は上がらないと思うんです。先ほども言ったように、まずは知らなくてもいい、とにかく投票所に行くだけでもいいんだ、という雰囲気を、周りからつくっていくことが大事なんじゃないでしょうか。めちゃくちゃ大事なことだからこそ、軽く決める余地が欲しい、そんなふうに思います」
さらに、ネット上の匿名アンチコメントが、若者の政治離れを助長する、と春名は指摘する。 「もちろん、真面目に考えたうえで的確な意見を述べている人もたくさんいます。一方、人格否定するみたいなアンチコメントが湧くと、政治の話をする=怖い人、みたいな連想も生まれちゃう。そう思われたくないから、政治の話もなんとなく避けるようになっていくというのもありますよね。みんなTwitterでも政治家をフォローしているのを友達に知られたくない、という気持ちはあると思う。でも、例えばTwitterで自分が困っていることや、街を良くするアイデアなどを発信して、その声が議員さんに届く、ということもあり得ます。情報収集には適していると思いますし、SNSとはうまく付き合っていけたらなと思いますね」
若者は政治を知らないから投票をしないのだろうか。若者を取り巻く環境が、若者の投票へのモチベーションを下げているという面もあるのではないか――。 20歳が肌で感じて語る素直な言葉からは、「若い人は政治に関心がない、選挙にも行かない」傾向があるというレッテルは本当に実情に即しているのかと、考えさせられる。 最後に、こんな質問をしてみた。 ──今後は俳優業に専念したいとのことですが、将来的に政治の道へ進むことは考えていますか? 「いまは政治家よりも、様々な人生を肯定も否定もせず、ただ同一化できる芝居という表現を続けていきたいと思っています。どんな善人も悪人に魅せることができる奥深さに熱くなったり、演じた役が増えていく度に、許せる人間が増えていくような気持ちになるんです。政治家になると自分の思想をかためなければならないので、まだまだいろんな価値観を吸収したいと思っているうちは考えられないですね」 春名風花(はるな・ふうか) 俳優・声優・タレント。2001年川崎市生まれ。0歳でモデルデビュー。3歳でブログを書き、9歳で始めたTwitterで注目を集める。子役から活躍し、CM、ドラマ、映画などに出演。現在は桐朋学園芸術短期大学芸術科で演劇を専攻。著書に『いじめているきみへ』など。