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【神奈川のあれから】 砂浜細り、迫る高波の脅威―西湘海岸、募る住民の不安

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カナロコ by 神奈川新聞

 湘南の海辺が高波のリスクにさらされている。象徴である砂浜が戦後の長期的な浸食で徐々に失われ、近年相次ぐ台風の被害を防ぎきれない。10年余り前の台風禍で大規模に崩落した西湘バイパス(全長約21キロ)は、その後も2017年の台風21号や19年の台風19号などで繰り返し被災。暮らしを脅かす現状に国などの対策が追い付かず、住民は不安を募らせる。(神奈川新聞社・渡辺渉、岩崎千晶) 【写真特集】2019年・台風19号 神奈川各地の状況

被災PA「ご利用後は速やかに退出を」

 「ここでおにぎりを買っていくのが基本でね。それができなくなって、本当に困るよ」。西湘バイパス下り線の西湘パーキングエリア(PA、神奈川県小田原市)。今春、オートバイを止めて一服していた藤沢市の男性ライダー(54)が表情を曇らせた。  毎週のように出掛けていた箱根へのツーリング。「海を見るとリフレッシュできる」と必ず立ち寄るが、「休憩している時に知り合った仲間が来なくなり、会えなくて寂しい」と交流の機会が失われたことを残念がる。

 PAは目の前に広がる相模湾の雄大な景色が売り。しかし、散策できるデッキもあった海沿いのエリアは立ち入りが禁じられ、おにぎりなどを販売していた売店は閉鎖されたままだ。昨秋の台風19号で高波の直撃を受けたためで、本格復旧のめどは今なお立っていない。  利用できるのは、被災後に整備された仮設トイレのみ。ただ、本来の駐車区画の一部を使って設置され、止められる車の台数は大型も含め17台に制限されている。本来の駐車台数の5分の1以下のため、駐車待ちの車列ができることも少なくない。  〈ご利用後は速やかに退出を!〉  被災後、PA内に掲げられた横断幕の目的は、混雑の解消だけではない。この一帯で路面高(海抜8メートル)を超える津波が想定されており、発生すれば巻き込まれる恐れが高いからだ。屋上が避難スペースだった売店の閉鎖によって、巨大地震が起きた時の“命綱”が切れたに等しい状態となっている。

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