【オリックス】九里亜蓮を獲得、広島から海外FA 石川柊太と交渉不発に備え九里の調査も進める
オリックスは12日、広島から海外フリーエージェント(FA)権を行使した九里亜蓮投手(33)と選手契約を締結すると発表した。背番号は22。広島では21年に最多勝を挙げるなど、通算71勝のタフネス右腕だ。3年契約、5・4億円プラス出来高払い(条件は推定)を提示して合意した。 福良GMは「先発の層を厚くする意味で。1年間ローテを守るだけの力はある。イニングも食ってくれるし、ゲームメーク能力も高い。体の強さ、タフさもある」と獲得の狙いを語った。ソフトバンクから国内FA宣言していた石川柊太投手(32)とも交渉していたが、石川のロッテ移籍が決定。不発の場合に備え、九里の調査も進めていた。 同GMによると、九里本人も交渉の過程で「長くやりたい」ということや「1年しっかりローテで回りたい」と語っていたという。右腕は家族とも相談して、大阪行きを決断したようだ。FA宣言の際には「最初で最後だと思う。もっと野球をうまくなりたい」と話していた。広島からオリックスへのFA移籍は昨オフの西川龍馬に続く2年連続となる。 就任1年目でV奪回を狙う岸田監督にとって朗報だ。来季の先発陣はエース宮城が開幕投手に決定し、曽谷やエスピノーザがローテ濃厚。ただ昨季新人王の山下は腰痛、東は右肘手術明けと不安を残す。中継ぎから転向の古田島も未知数の部分が大きい。8年連続で110イニング以上を投げている九里の存在は厚みを加える。的確な補強となりそうだ。【大池和幸】 ○…九里はFA獲得の際に広島に対して人的や金銭の補償が必要な年俸Bランクとみられる。オリックス福良GMはその対応について「これからの作業になる。現場と話しながらになりますね」と話した。昨年は西川の移籍により、19歳だった右腕の日高が人的補償で広島に加わった。 ◆九里亜蓮(くり・あれん)1991年(平3)9月1日生まれ、鳥取県出身。米国人の父は、3Aでプレー経験のある元選手。岡山理大付を経て、亜大4年の神宮大会で優勝。13年ドラフト2位で広島入り。21年に13勝を挙げ最多勝。23年にはセ・リーグ最多の174イニング1/3を投げるなど、恵まれた体力を誇る。188センチ、97キロ。右投げ右打ち。 ○…広島松田元球団オーナー(73)は12日、オリックスからFAでの獲得が発表された九里の決断を尊重した。「リーグが違う野球も見てみたいと言っていた。ひとつ枠が空くということで、競争してくれればと思っている」。球団は海外への移籍がかなわなかったときには残留を認める意向を本人に伝えていたが、国内球団への移籍となった。鈴木球団本部長は、人的か金銭かの補償について「リストを見てから決めます」と答えた。