「チームメートにうつしているんじゃ」ソフトバンク東浜、苦悶の日々
■2300万円増9000万円更改
昨年末に新型コロナウイルスに感染した福岡ソフトバンクの東浜巨投手(30)が18日、ペイペイドーム内で契約更改交渉に臨み、2300万円増の年俸9000万円でサインした。自身初の開幕投手を務めた昨季は9勝を挙げて、3年ぶりのリーグ制覇に貢献。昨季最終盤に不調を訴えた右肩の状態も上がっており、2年連続の大役に照準を合わせた。東浜の更改で、外国人を除く全選手との契約更改が終わった。 (金額は推定) 【データ】ソフトバンク最近10年の開幕投手
■「最大級の評価うれしい」
スーツとマスク姿でオンライン会見に臨んだ東浜は穏やかな表情だった。「最大級の評価をいただき、うれしい」。初の開幕投手を務めた昨季は9勝2敗、防御率2・34。1億円の大台には届かなかったが、球団からは「1年間チームの軸として働いてくれた」との評価を受けたと明かした。 昨年末に新型コロナウイルスに感染し、更改の日程がずれこんだ。16日に筑後のファーム施設での練習を再開したばかりの右腕が表情を引き締めたのは、2年連続の「大役」への質問が飛んだ直後。「もちろん(開幕に)投げたいという思いはある」と力を込めた。 昨季について「『先発陣の中心として頑張る』との思いで1年間回り、自信にはなった」と話す一方、右肩の不調で日本シリーズには登板できなかった。「最後の最後で投げきれなかったことは課題」。感染後の年末年始には約3週間の自宅療養も強いられた。 この期間に体力の衰えを感じたといい、「やることも多いし、今は体をしっかりつくり上げることだけを考えている」と明かす。それでも、初めて体験した開幕投手を「任せてもらい、本当に身に余る光栄だった」と振り返り、改めて「3・26」を見据えた。 コロナ感染後は不安とも闘った。「家でずっと一人だったし、テレビでもコロナのニュースばかり。『チームメートにうつしているんじゃないか』と考えると気が気じゃなかった」。味覚と嗅覚にも異常が出たが、ようやく体調も戻った。 リハビリ中の右肩の状態は「キャッチボールもできている。あとは上げていくだけ」と説明。今季の目標については、昨季はわずかに届かなかった規定投球回到達を挙げた。目標達成すれば、16勝で最多勝のタイトルを手にした2017年以来、4年ぶりとなる。 「3・26」の今季開幕には間に合う公算だ。「チームのリーグ優勝、日本一が一番。(規定投球回は)1年フルに戦えばついてくる数字」と強調。さらに「今年は143試合が予定されているので、先頭で引っ張れるよう準備したい」。リーグ連覇と5年連続日本一へ着実に歩みを進める。 (長浜幸治)
西日本スポーツ