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9頭身モデルボクサー高野人母美は引退していなかった!! 浮世離れ…4日前に新型コロナの存在を知る【竹下陽二コラム】

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中日スポーツ

 よく晴れた日曜の昼下がり。コロナ自粛による運動不足を解消しようと東京・世田谷区の砧公園周辺をサイクリングしていると、かつて、9頭身モデルボクサーとして話題を振りまいた高野人母美が、森の向こうからハアハア言いながら走ってきた。マスクをしていたが、日本人離れのスタイルですぐ分かる。以前、何度も取材したこともあるし、知らない仲ではない。すれちがいざま声をかけてみる。 【写真】衝撃!高野人母美“コスプレ”前日計量  あれえ、高野さん!?  「あれえ、竹下さん? なにしてんですか? 」見れば分かるでしょ!? サイクリングだよ。そっちは?  「トレーニング。私、ボクサーですから。最近、気付いたんです。私のパンチ、強いなと。当たったら、相手気絶するよなと。ふふふ。今日は、タイアンキチビ(大安吉日)。このあと、お世話になった山上ジムの山上会長の家にお邪魔して、仏前に手を合わして来ようと思って。生前、会長と交わした世界王者になるという約束を果たしてないので。この公園は、昔、よく会長と待ち合わせて、走ってたから。原点に戻ろうと思って来ました。ほら、タイアンキチビ(2度目)だから」  あのー、それを言うなら、タイアンキチジツでは?   「あ!? そうとも、言いますが、テヘヘヘ…」  高野は屈託なく笑った。いきなりの高野ワールドさく裂である。それにしても、引退したと思い込んでいただけに現役続行宣言は意外であり、うれしかった。  ご存じの方も多いと思うが、おさらい。高野が9頭身のモデルボクサーとしてデビューしたのが、2013年4月。奇抜な言動と計量パフォーマンスで話題をまいた。ボクサーとしてもOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者まで登り詰め、世界王座にも挑戦。紆余(うよ)曲折を経て、2017年11月に山上ジムから移籍した協栄ジムを辞め、引退。モデルとして所属していた事務所も飛び出して、単身海を渡る。根っから自由人。その行動も予測不能。ロスではあのパッキャオも汗を流す有名ジムで修業を積んだ。  メキシコにも足を伸ばし、女子ボクシングのスーパースターで、今も世界に君臨するマリアナ・フアレスの自宅に泊まらせてもらい、約40日間寝食をともにした。フィリピンでも試合をした。現地でのファイトマネーとスポンサーのギャラはあるが、滞在費は自腹。ハングリーで孤独。行動力だけで突き進んだ。その間、自身2度目の世界王座に挑むが、厚い壁に阻まれた。そして、昨年12月、2年2カ月ぶりに日本復帰し、緑ジムから再デビュー。判定勝利を収めたものの精彩を欠き、酷評された。ポキッ…。張り詰めた心が音を立てて折れた。  「もう、ボクシングは辞めよう」。遠くでクリスマスソングを聞きながら、高野は当てのない自分探しの一人旅に出た。古代エジプトに触れたくなって、エジプトに飛んだ。そして、ドバイ。さらに、中国。グアム…。屋久島の縄文杉も見に行った。しかし、答えはどこにもなかった。そして、やっぱり、戻ってきたボクシング。昨年9月に他界した故・山上哲也会長(享年77)との約束を思い出し、思い出の砧公園にやってきた。そこで、なんの因果か、私と再会した。

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