両親の死後、実家が「空き家」に。 固定資産税が「6倍」にならないための登記と寄付の仕組みを解説
全国で空き家問題が深刻化していることを受け、相続登記の義務化と国への寄付制度の創設がされました。何も知らずに空き家を相続してしまうと、固定資産税の負担が6倍になるリスクがあります。これからの相続に必要な知識として、新設された2つの制度について押さえておきましょう。
空家等特措法が改正
2023年6月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家等特措法)」が改正され、自治体から認定を受けた特定空き家等のみではなく管理不全空き家等の敷地も、固定資産税が減額されないことになりました。管理不全空き家等とは、放置すれば特定空き家等になる恐れがある管理の行き届いていない建物のことです。
増える空き家
総務省「平成30年住宅・土地統計調査」の調査結果によると、長期にわたって誰も住まずに放置されている空き家は増えています。その件数は1998年から2018年の20年間で182万戸から349万戸と約1.9倍に増加しており、今後も増え続けていくと予想されます。
固定資産税が約6倍に
特定空き家等や管理不全空き家等に認定されると固定資産税等の負担が増えることになりました。土地や家屋を所有していると、固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。 住宅やマンションなどの敷地である住宅用地には、図表1のような固定資産税や都市計画税を軽減するための特例措置が適用されなくなるのです。つまり、固定資産税が約6倍になる可能性があるのです(都市計画法による市街化区域内に所在しない場合)。 図表1
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)を基に筆者作成
相続登記が義務化
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。これまでは不動産を相続などで取得しても登記は義務化されていませんでしたが、義務化されると所有者が明確になり、管理責任を問われる機会も増えるでしょう。 相続などで不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行わないと、10万円以下の過料が課される場合があります。遺贈による取得も同様です。また、既に相続等が発生している場合も規制の対象となるので注意しましょう。