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「あなただったら、どうしますか?」とJJは質問したい。|アルテイシアの熟女入門

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幻冬舎plus

アルテイシア 「YouTuberの名前がわからない」もJJ(熟女)あるあるではないか。 無論「三度の飯よりYouTube」というJJいるだろう。だが私の周りでいうと 「ヒカキンしか知らないし、ヒカキンの動画も見たことがない」 「せやろがいおじさんしか知らない。彼は34歳で意外とおじさんじゃないことを知った」 みたいなJJが多数派だ。  「何かを検索すると動画が出てきて、いやテキストで説明してくれ! と思う」 「わかる! 動画を最後まで見続ける集中力がない」 「私は老眼だから、スマホの画面を見るのがつらい」 と時流についていけない俺たちだ。 私でいうとTikTokの読み方もあやふやで「チックタックじゃないのは知ってるけど……ティクトック? ティックトク?」と、もごもごしている。 そんな拙者であるが、人気YouTuberのシオリーヌちゃんと動画を製作することになった。 シオリーヌちゃんはもともと私の読者で、以前こちらの動画にも出演させてもらった。 今回の動画を製作することになったのは、下記のコラムがキッカケである。 「性差別や性暴力の話になるとケンカになる問題」より抜粋 <太田啓子さんの著書『これからの男の子たちへ』では、性暴力をなくそうというキャンペーンのために、カナダのオンタリオ州が発信した動画「Who will you help?(あなたは誰を助ける?)」が紹介されている。 『パーティーのような場所で、泥酔した女性に性的嫌がらせをしている男性がいて、その加害男性が突然カメラを向いて「黙っててくれてありがとう」と言うのです。 他にもいくつかの性的嫌がらせの場面で同様に、加害男性が行為の最中、突然カメラを向いて「無視してくれてありがとう(おかげで続けられるよ)」というメッセージを発します。 最後に流れる字幕には「何もしないなら、彼(加害者)を助けたことになる。でも、何かしたら、彼女(被害者)を助けられる。あなたは誰を助ける?」という言葉が流れます』 日本の鉄道会社や警察はこういうのを作らんかい。なんなら私が脚本を書いてやる、ギャラは千円でいい。> これを読んだシオリーヌちゃんが声をかけてくれて、ガチで脚本を書くことになったのが、8月の話である。 その後、素晴らしい役者さんやスタッフさんが参加してくださり、グレートな作品に仕上がった。 10月11日の国際ガールズ・デーに公開予定なので、ぜひ見てもらえると嬉しい。 #性暴力を見過ごさない #ActiveBystander こちらが動画のテーマである。Active Bystanderとは「行動する傍観者」という意味だ。 海外には性暴力の非当事者の介入プログラムがあり、そちらの文献によると「性暴力を見過ごす人(passive bystander)」と性暴力に介入する人(active bystander)の二種類が存在するらしい。 つまり性暴力の現場に居合わせた人はみなbystanderであり、その中に行動を起こすbystanderと行動を起こさないbystanderがいる、という概念のようだ。 性暴力やセクハラの現場に居合わせた時、「自分には関係ない」と見て見ぬフリをする人もいるだろう。 一方で「本当は行動したいけど、自分に何ができるかわからない」と動けない人もいると思う。 そんな人々に向けて、今回の動画では様々なシチュエーションを描いている。 「何かはできるのに何もしないことは、性暴力に消極的に加担していることになる」というメッセージも込めたつもりだ。 たとえば、痴漢をタックルで仕留めるのは無理だろう。でも被害を受けていそうな女性に「ひさしぶり!」と声をかけるとか、それぐらいなら私にもできるんじゃないか。 自分ができることからやっていくこと、それが性暴力を許さない社会につながるんじゃないか…… と私は常々考えていて、たまに思考が口から漏れている。JJはいろんなパッキンがゆるむお年頃。 『男が痴漢になる理由』の著者・斉藤章佳さんと対談した時、私がこの話をしたら「アルテイシアさんの意見に大賛成ですね」と同意してくださり、以下のお話を聞かせてくれた。 『私はJR東日本の痴漢防止アプリの監修に関わっているんです。開発を進める中で、加害者と被害者、どちらにアプローチするのが有効なのか? という議論が起こりました。 しかし、現実的にはどちらも非常に難しい。そうなった時に、その状況をとりまく傍観者=サイレント・マジョリティの関心を高めることが求められる。 (周囲の人々が)痴漢行為を見て見ぬフリをしないように導いていくことが、痴漢を防止するためにもっとも効果的なのではないか、という結論に達しました』 という話に膝パーカッションしすぎて地面が揺れた。 痴漢の再犯率が極端に高いことは有名だ。逮捕されても痴漢をやめない加害者に「チカン、アカン」と訴えても「アカンな、やめとこ!」となるわけがない。 また、斉藤氏の『痴漢加害者のうち99.5%は男性であり、痴漢の問題は“男性の問題”だと言えます』という言葉にも、膝パーカッションしすぎて地殻変動が起こった。 性犯罪の加害者の95%以上が男性、被害者の90%以上が女性である。 痴漢がいなければ痴漢冤罪はないし、女性専用車両だっていらない。加害者がいなければ、性犯罪はなくなるのだ。 現実に性犯罪者をゼロにするのは無理だろう。でも、まともな良識のある男性であれば「性犯罪を少しでも減らしたい」と思うだろう。 だったら、そのために何ができるか真剣に考えてほしい。そんな願いから、今回の動画の主人公を「傍観者の男性」にした。 また全シチュエーションを「男性が女性に加害する場面」にしたのは、性暴力の現状を反映したからだ。 それでもハイパークソリプクリエイター(HKC)たちは「男を性犯罪者扱いするな!」と騒ぐだろう。 彼らは「性犯罪を減らしたい」なんて望んでおらず、「性犯罪を減らすための活動を叩きたい」が本音だから。 そんなコバエみたいな騒音は無視するが、悪質な誹謗中傷や妨害があった場合は法的に対処するので、首を洗って待っていろ。 一方、まともな良識のある男性でも、性犯罪の話題になると「自分が責められている」「加害者扱いされたくない」と身構えたりする。 ほとんどの男性が加害者じゃないことは、百も承知だ。 そして、ほとんどの女性は何らかの性被害に遭っていて、ほとんどの男性は一度も性被害に遭ったことがない。 その非対称さゆえ、被害者目線で考えづらい男性が多いのは事実だろう。 そんな男性たちに、加害者でも被害者でもなく、傍観者として自分に何ができるのか? を考えてほしい。そのキッカケとして、今回の動画が役に立つと嬉しい。 つい先頃も、アルテイシアは激怒した。 激怒案件が多すぎて血管が心配だが、それは20代の女子からこんな話を聞いたからだ。 彼女が駅を歩いていると、中年のおじさんに全速力でぶつかられて、派手に転んだそうだ。それを見て周囲も唖然としていたが、声をかけてくれる人はいなかったという。 「この話を女友達にしたら、みんな一緒に怒ってくれて、心配してくれました。でも男の人は口をそろえて『俺はそんなことされたことないけどな~』って言うんですよ」 「その時に初めて知りました。男の人は普段からぶつかられたり、通りすがりに舌打ちされたり、怒鳴られたりしないんだって」 普通に歩いているだけで、ぶつかりおじさんに狙われたり、卑猥な言葉をかけられたり、胸や尻に触られたりする。 女性が日常的に加害されている現実を、自分には見えない世界があることを、男性にも知ってほしい。 また、同世代の女友達が話していた。「私は身長170センチ以上あるせいか、痴漢に遭ったことはなかったのよ」 「でも妊娠中とか出産後にベビーカーを押している時に、男性から嫌がらせや加害を受けた。彼らが抵抗できない弱い存在を狙うってことが、その時に身に染みてわかった」 そんな卑劣な連中を許せない、一匹残らず駆逐してやる……!! と、まともな人間なら思うだろう。そうやって良識ある全ての人々が声を上げれば、世の中を変えていける。 逆に「自分には関係ない」という無関心が、加害しやすい社会を作ってしまう。 加害の現場に居合わせた時、その場で加害者のうなじを削ぐのは無理でも、被害者に声をかけることはできる。 「その場で犯人が捕まらないと意味ない」というクソリプも来るが、ちっとは脳を使ったらどうか。脳などただの飾りなのか。 「大丈夫ですか?」と声をかけるだけでも、被害者は安心するし救われるだろう。 そして「助けてくれる人がいる」という安心感、社会に対する信頼があれば、被害者は助けを求められる。 逆に「誰も助けてくれない」と絶望してしまうと「助けを求めても無駄だ」と1人で抱え込み、支援につながることもできない。 拙者は鈍足の中年女性だが、誰かがぶつかられて転んだら、メロスのように駆けつけたい。いつも瞬足を履いて出かけよかしら。 今回の動画には、男性上司が女性の部下にセクハラする場面もある。 痴漢やぶつかりおじさんと違って、セクハラは加害者に自覚がない場合が多い。 「相手が嫌がっていると思わなかった」「コミュニケーションのつもりだった」と本気で勘違いする加害者が多いからこそ、「行動する傍観者」が必要なのだ。 TVで武田鉄矢が「セクハラは必要悪」と語っていたが、「昔は気軽にお尻に触られてよかったわ~」と回顧する女性は見たことがない。 彼らは「昔は自由でおおらかでよかった」と言うが、その自由は誰かの犠牲の上に成り立っていたのだ。それを理解できない老害が、ドヤ顔で説教してんじゃねえ!! と指原莉乃は武田鉄矢に言えないだろう、そこには上下関係が存在するから。 ハラスメントは基本、強者から弱者に行われる。イヤでもイヤと言えない立場の被害者は、曖昧な笑顔で返すしかない。 かつ周りも空気を読んで笑っていると、加害者はそれがセクハラだと永遠に気づかない。 同調圧力の強いヘルジャパンで、声を上げるのは勇気がいる。でも声を上げる人が増えることで、セクハラを許さない空気が作られていく。 某有名企業で働く女友達がこんなエピソードを話してくれた。 職場でおじさん部長が若手の女性社員に「今日も旦那と子作りするのか? (笑)」と言った時、男性の先輩が「それセクハラですよ」と注意したそうだ。 すると部長はバツが悪そうな顔になり、それ以降、その手の発言を控えるようになったという。 友人いわく「その先輩は夫婦で不妊治療をしてたから、自分事として考えられたのかもね」とのこと。 彼女の「悔しいけど、女の私が注意しても『○○さんは怖いなあ(笑)』と茶化されたと思う。男尊女卑がしみついたおじさんって、男の話しか聞かないから」という言葉に「それな!!」と膝パーカッションしすぎて、俺の膝はもうぼろぼろだ。 このままではヒザ大僧正からヒザ阿闍梨に進化してしまう。 ヒザはさておき、男尊女卑でおなじみのヘルジャパンだからこそ、男性も積極的に声を上げてほしい。傍観者の自分に何ができるか? を考えてほしい。私も一緒に考えるから。 そして、私も過去の自分を反省しているから。 過去の私はセクハラの被害者でもあり、加害者でもあった。下ネタ言ったもん勝ちみたいな会社で、自身もさんざんやらかしてきた。 私の無自覚な言動によって傷つけた人もいるだろう。それを思うと、縦長に穴を掘って首まで埋まりたくなる。 でもそのままカーズ様のように思考停止して、沈黙するわけにはいかない。過去の反省があるからこそ、声を上げていかねばと思うのだ。 世の中には、いともたやすく行われるえげつない行為(D4C)があふれている。その現場に居合わせた時、「あなただったら、どうしますか?」とJJは質問したい。 そして「自分だったら、どうするだろう?」とつねに自分に問いかけたい。 #性暴力を見過ごさない #ActiveBystander ■アルテイシア 神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。\ntwitter : @artesia59

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