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吸えば即死の「酸欠空気」が外環道工事現場から発生。事業者は住民に説明せず工事を強行

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HARBOR BUSINESS Online

外環の工事により、「吸えば即死」の酸欠空気が川で発生

 5月27日、東京都の住民13人が原告となり、建設中の地下高速道路「東京外郭環状道路」(以下、外環)の工事差し止めを求める仮処分申請を東京地裁に起こした。 ⇒【表】厚生労働省資料「酸素欠乏症による労働災害発生状況、死亡者数」  その理由は、「一息吸えば即死するほどの酸欠空気(酸素濃度の低い空気)が、地下の掘削現場から湧き上がっている」からだという。事業者側は「周辺環境に影響はない」として、住民説明会も開催しようとせずに工事を続行している。「酸欠空気の発生」とは、いったい何が起きたのだろうか?  空気中の酸素濃度は約21%。例えば、これが6%以下なら人は即死する。そんな酸欠空気が2019年5月から今年3月までに、東京都世田谷区や調布市を流れる野川や白子川といった川でポコポコと湧いているという。  東京都の世田谷区と練馬区を約16kmの地下トンネルで結ぶ外環道の工事では、「シールドマシン」という巨大掘削機を使用する。そこでは、その切羽(カッター)からシェービングクリーム状の気泡薬剤を土中に注入しての「気泡シールド工法」という掘削を行うことがある。この工法には土壌との摩擦を軽減し、作業後も土が切羽にこびりつかないなどのメリットがある。  だが、掘った土はトンネル外に搬出されても、シールドマシンが回収できない気泡は地下の土壌を巡り巡って地上に出る。今回の工事は川に沿って行われたことで、その酸欠空気の発生が川で発覚したのだ。

「大深度」ならば地主との交渉も補償も不要!?

 外環は、首都圏(東京、埼玉、千葉)を環状に貫く高速道路。東京都練馬区の大泉インターチェンジから世田谷区にある東名高速道路までをつなぐ約16kmの区間は、長らくの住民の反対運動のために未着工だった。2003年に、当時の扇千景国土交通大臣が「未着工部分は大深度でやる」と表明した。  大深度とは大ざっぱに言えば、概ね地下40m以深の地下のこと。「大深度法」という法律により、大深度での地下開発行為には、地上の地主との「交渉不要」で「補償も不要」とされている。それは、「大深度なら地上に環境的な影響は及ぼさない」という考えが前提になっている。  もっとも地下40m以深とはいえ、振動や騒音、地盤沈下、地下水脈の断絶などを心配する住民は一定数存在し、実際に10を超える市民団体が外環計画に反対している。  だが、その反対運動をよそに、2017年2月から掘削が着手された。すると翌2018年5月14日、川に異変が現れた。東名高速道路近くの野川で、ジェットバスかと思うような気泡が川底から湧いたのだ。  ところが、事業者(国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)は、住民にこの事実を知らせることなく、ウェブサイト「東京外環プロジェクト」で、6月22日に「気泡は、地下のトンネル工事の掘削箇所から、シールド工事で用いる空気のごく一部が地中から地上に漏出しているものです。(中略)地域の皆さまにご迷惑をおかけするような影響はないと考えております」と記述しただけだった。

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