敬老パス見直し、高齢者から反発続出 若者からは「負担感」の訴えも
70歳以上の市民が地下鉄・市電・バスを格安で利用できる札幌市の敬老パス(敬老優待乗車証)制度の見直しを巡り11月30日、市内で秋元克広市長と市民が意見交換をする集会があった。 【写真】敬老パス制度の見直しをめぐり、市民と意見交換をする秋元克広市長(右)=2024年11月30日、札幌市中央区 市は今秋、財政状況や人口構造の変化などを理由に、当面は制度を存続させるが、2026年度から対象を75歳に引き上げ、自己負担割合を引き上げるなどとする改正案を示した。集会には169人が参加し、応募段階では60代以上が85%超を占めた。 「賛成の方?」。発言者の一人が問いかけると、手を上げたのは、ざっと3人。出席者の多くは「反対」とみられる高齢者で、「日常生活やボランティア活動への影響が大きい」「現行制度を維持して欲しい」といった意見が相次いだ。 秋元市長は、現役世代の負担が増えていることを念頭に「高齢者にも一定の負担をお願いしたい」と見直しに理解を求めた。会場は「反対」意見が圧倒的だったが、市側からは、事前にAIを使ったシステムで集めた486人の意見を分析したところ、「見直しは必要」「現行制度は不公平」といった意見もあったことが紹介された。ただ、会場からは「世代間の分断を作らないで」といった批判の声があがった。 集会への参加を希望した20代は応募段階では0.8%。28歳の男性は「若者の負担感や現状を知って欲しい」との思いで参加し賛成意見を述べたがヤジを浴び、終了後「場の空気はアウェーだった」と語った。 コメンテーターとして参加した大川哲也弁護士は「権利の変更を伴う制度改革では、不利益を受ける人への丁寧な説明や激変緩和措置が必要」などと指摘。「(市側には)結論ありきではなく、柔軟な対応をお願いしたい」と語った。(原知恵子)
朝日新聞社