いよいよ本格再開!? ドリームマッチの行方は?──世界編
パンデミックでも、黙して座していては干上がってしまう。世界のボクシングがいっせいに動き出した。実現が待望されるドリームマッチの数々。原則として無観客試合となる環境下で、どこまで実現できるのか。ボクシング・マガジン9月号では、ニューヨーク在住のスポーツライター、杉浦大介氏が膨大な資料を収集し、さらに独自の視点を交えながら今後の行方を読み解いていく。
アメリカ最大のスポーツチャンネル、『ESPN』に6月からカードを提供しているボブ・アラムのトップランク。自宅の裏庭に特設リングを組んで、8月から『DAZN』をベースに活発な活動を開始したのがエディ・ハーン率いるマッチルームだ。さらにオスカー・デラ・ホーヤのゴールデンボーイ、クィンズベリー・ボクシングのフランク・ウォーレンも動き出す。そして、ずっと沈黙してきたPBC(プレミ・アボクシング・チャンピオン)も7月下旬に、ペイステーション『Showtime』で放映する年末までのカードを一気に発表。もうひとつ契約する『FOX』での放映分も随時、明らかにしている。手ぐすねを引いて待ちわびていたスーパーチャンプたちも、近づく戦いの気配に身震いしているに違いない。 ただし、すべてのカードは、観客を入れないというのが大前提。観客動員についてはやがて緩和されるにしろ、あくまで限定的になるはずだ。テレビ中継やネット配信で見る歓声なき戦いは、最初のうちは斬新にも思えたが、慣れてくるとどうにも殺伐とした空気も感じてしまう。選手とて、大観衆の前で戦いたいに決まっている。テレビ放映料とともに入場料も大きな収入源となるプロモーターとしても思いは同じだ。 厳しい状況にあったとしても、ボクシングの火を消してはならぬ。ボクシング界のリーダーたちは、ビッグマッチの実現に懸命の努力を重ねている。記事では階級やその周辺エリアによって5つのテーマに分け、今後を占っていく。