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安心できる「自分の居場所」の作り方 心の駆け込み寺

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日経ARIA

悩んだり、イライラしたり、日々浮き沈みする心を穏やかにしたい……。そんな悩みに、心理カウンセラー僧侶の羽鳥裕明さんが寄り添い、仏教と心理学の視点からヒントをくれるこの連載。2回目は、「居場所の作り方」について考えてみましょう。  ネガティブな考え方が苦しみを生むのではなく、そんな自分を受け入れないという「否定」が苦しみを生む。だから、自らのネガティブな側面を否定することなく、いいも悪いも含めた「ありのままの自分」を受け入れることが、心穏やかに生きていくヒントとなる――というお話で前回は終わりました。  もしかしたら、読者のみなさんの中には「ありのままの自分を受け入れるなんて、きれいごとでは?」と思う方もいるかもしれません。  確かに、人前で取り繕ったり、素直に振る舞うことができない、そんな「嫌な自分」をそのまま受け入れることは難しいことです。環境が大きく変わる時期は、見たくない「ダメな部分」に直面せざるをえなくなる機会が増えるのかもしれません。

人間にとって「居場所」は大切な存在

 自分が新たな環境に飛び込むとき、あるいは環境は変わらなくても、上司や部下が変わるなど、新しい人間関係ができると、いつもより緊張したり、相手にどう思われているかが気になったりするものです。  その根底には「嫌われたら排除されるかもしれない」「能力を発揮できなければ、仕事を任せてもらえなくなるかも」といった、「自分の居場所がなくなること」への恐れがあるのでは、と私は考えています。  居場所を奪われたくないから、相手に気に入られたいと過剰に気を遣ってしまう。会議などでも周囲の目が気になって思い切った発言ができず、萎縮した態度をとってしまう。「ほどほど」「そこそこ」を狙ううちに、自分が何をやりたいのか分からなくなってきた。成長している実感がないから、仕事にやりがいを持てない。働く女性の中で、そういった漠然とした悩みを抱いている人が増えているように感じます。  職場に限らず、居場所の存在が不安になるということは、人間として根源的な悩みごとなのかもしれません。人にとっての居場所、について考えるとき、思い浮かぶのが、米国の心理学者で「カウンセリングの父」ともいわれる、カール・ロジャーズの言葉です。  彼は、現在カウンセリングで基本とされる「相手に寄り添い、受容する」というカウンセリング手法を最初に提唱した人なのですが、「カウンセリングの使命は、人にもともと備わっている成長と可能性の実現を促す環境を作ること」という言葉を残しています。つまり、ここがあるから大丈夫、と思える場=環境があれば、人は自らの力で成長をし、挑戦していけるのです。だからこそ、これとは逆に「居場所がなくなる」という不安に人は振り回されてしまうのですね。 【ミニ知識】人の悩みに関わる仏教用語の深い意味 同行二人(どうぎょうににん) 四国八十八カ所の「札所」を巡るお遍路さん。彼らが白装束を着るのは厳しい修行の道で「いつ死んでもいいように」と死に装束に身を包んでいるのだそう。頭にかぶる菅笠や袋に「同行二人」と書かれているのは、「空海さんも自分のそばにいつも寄り添って歩いてくれている」と思うことによって心強く前進できるため、といわれています。

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