PTAの委員会制を廃止「ボランティア制」の現実味 大人が楽しく子どもに必要な活動を行う組織へ
「とにかく多かった」仕事量、後継者を探すのも一苦労
「強制感があり、前例踏襲にとらわれている」「共働きが増える中、役員・委員のなり手が少ない」など、その存在意義も含めネガティブな声を耳にすることが少なくないPTA。コロナ禍が続き、PTA活動が中止・縮小されたことを機に、これまでの活動を見直したPTAも少なくないだろう。そんな中、神奈川県横浜市立日枝小学校は、PTA活動について学校と保護者で対話を重ね、2021年4月、これまでのPTAを廃止。「日枝っ子友の会」に名称を変更し、「今までのPTA活動にとらわれることなく、子どもたちのための、ボランティアを核とした新しい組織」をスタートさせた。立ち上げまでの経緯、現在の体制や運営方法と今後について、同校の校長・住田昌治氏、教務主任の高木広希氏、保護者の平野葉子氏に聞いた。 「10月に行われたハロウィーンバージョンの縁日」ほか、この記事の画像を見る 「本部役員の仕事がとにかく多くて本当に大変で、後継者を探すのも一苦労。『改革するなら、PTA本部を丸ごとなくすくらいのことをしないと意味がない』と思っていました」 こう話すのは、2017年から20年の4年間、横浜市立日枝小学校PTAで本部役員を経験した保護者の平野葉子氏。同校のPTAは、ほかの多くの学校のPTAと同様、PTA本部(役員6名)と下部組織の委員会で構成され、本部役員はほぼ他薦で選出されてきたという。 「私も他薦で選出されました。1年目は会計、2年目以降は副会長を務めたのですが、PTA主催の出前授業の準備、運動会終了後のトイレ掃除、学校行事の際の来賓の方々へのお茶出しや片付けなど、いわゆる“雑用”を含む本部役員の仕事量の多さに驚きました。これまで役員をやってくださった先輩保護者の方々に心から感謝の気持ちを抱いた一方で、『一部の保護者だけにPTA活動の負担が偏るのはおかしい。なくてもよい活動がたくさんあるのではないか』と強く感じたのです。 何をどのようになくしていけばいいのか、自分の言葉で発言できるようになるためにも、まずは『前任者から引き継いだこととしっかり向き合ってみよう』と。1年目は、目の前の“やるべきこと”を懸命にこなし続ける日々でした」と振り返る。