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【佐藤安太特別展】夢を諦めない(8月20日)

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福島民報

 玩具メーカー・タカラ(現タカラトミー)の創業者で、「リカちゃん」人形や「人生ゲーム」などのヒット商品を生み出した故佐藤安太氏(いわき市出身)の生涯をたどる特別展が、いわき市勿来関文学歴史館で開かれている。夢や目標に向かって進むことの大切さを訴え、実践した佐藤氏。ふるさとが生んだ偉人からのメッセージは、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、さまざまな困難に立ち向かう県民に、大きな希望を与えてくれる。  特別展の会場には、一九六〇(昭和三十五)年に発売され大流行した「ダッコちゃん」をはじめ、初代リカちゃんやチョロQなど懐かしい商品が並ぶ。おもちゃの魅力は世代を超えるのだろう。ダッコちゃんを初めて見た子どもも、当時を知る中高年も、来場者たちは目を輝かせる。手帳や電卓、腕時計、カメラといった佐藤氏の愛用品、略歴なども展示されている。  「新しいおもちゃをつくる時、そこに『感動』があるかどうかを、いつも考えています」。佐藤氏のメッセージが紹介されている。「おもちゃとは、遊び心、そして夢を育むものだと思います。だから、自分がいつも夢を持っていなければ、何もできないのではないでしょうか」。自身の信条で締める。

 佐藤氏は一九二四(大正十三)年にいわき市三和町で生まれた。旧制磐城中(現磐城高)、旧制米沢工業専門学校(現山形大工学部)卒。上京して製紙会社に就職し、脱サラして佐藤加工所を設立。その後、社名をタカラに変更して規模も拡大、多くのヒット商品を世に送り出した。  特別展会場に置かれている生涯をまとめた冊子「佐藤安太物語」によると、太平洋戦争中の一九四五年四月、佐藤氏は学徒動員で働いていた郡山市で空襲に遭い、多くの知人友人を亡くした。「頑張らなければ、ばちがあたる。これからは生まれ変わったつもりで、くいのないように生きていこう」。惨劇の中での誓いが、その後の佐藤氏の原動力となったようだ。  七十歳代でタカラ社長を退任し、新経営陣に会社を任せた後も新たな目標に「成功実現の手法の研究」を掲げた。県内をはじめ全国で精力的に講演するなど人材育成に情熱を注いだ。  昨年二月に九十四歳で他界するまで、夢を諦めずに追い続けた「おもちゃ王」。山あり谷ありの人生に学ぶことは多い。特別展は九月十五日まで。心豊かに日々を暮らせる道しるべが、きっと見つかるに違いない。(真田 裕久)

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