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相続における上場株式の評価は、新型コロナでどんな影響を受ける?

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ファイナンシャルフィールド

新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請などもひと段落しましたが、社会や経済が元の状態に戻るのはまだまだ時間がかかりそうです。新型コロナウイルス感染症による経済への影響は、今後どのようになるのでしょうか? 本稿では、相続における上場株式の相続税評価について述べた後、未曽有のアクシデントにより経済にも影響があった東日本大震災の際の、相続における上場株式の評価について見ていきます。

上場株式

上場株式とは、東京証券取引所などで売り買いの取引を行うことができる株式のことです。亡くなった人から上場株式を相続した場合、その上場株式の評価はどのようにされるのでしょうか? ちなみに、東京証券取引所などで売り買いの取引を行うことができない株式を、未上場株式ということもあります。

相続における上場株式

相続における上場株式の評価は、「相続のあった日」の最終価格(=終値)で行うのが原則です。 ただし、「相続のあった日」の最終価格に比べて、「相続のあった日の属する月」から3ヶ月の間の、毎日の最終価格(=終値)の各月平均額のうち、最も低い価額を上回る場合には、その最も低い価額によって評価します。 ・相続のあった日の終値 ・相続のあった日の毎日の最終価格の平均 ・相続のあった日の前月の毎日の最終価格の平均 ・相続のあった日の前々月の毎日の最終価格の平均 以上を評価に用います。 例えば、相続のあった日が6月12日だったとして、以下のような例があったとしましょう。 6月12日の終値 680円 6月中の毎日の終値の平均 687円 5月中の毎日の終値の平均 695円 4月中の毎日の終値の平均 650円 3月中の毎日の終値の平均 640円 ということで、「4月中の終値の平均 650円」を評価に用いることになります。

相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングにズレがある

相続税の納税は、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内となっています。 ところが、上場株式の評価は、「相続のあった日の終値」と「それ以前の月の毎日の終値の平均」を用いますので、相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングに、大きなズレがあるのが分かりますね。 このタイミングのズレの例として記憶に新しいのは、東京電力の株価です。2011年2月23日に2197円の高値を付けていましたが、同年6月9日には148円まで下落しています。2011年とは、東日本大震災とそれに伴う原発事故が起きた年です。 ■タイミングのズレが問題になったケース 当時、東京電力の株式を保有していた人が2月23日に相続が起き、遺産の分割協議などの手続きを行っている最中に、東日本大震災が発生し、株価が大きく下落してしまいました。 「株価が大きく下落してしまった株式なんて、だれも相続したがらずに困っています」と、相続の手続きを行っていた税理士が筆者に相談を持ち掛けてきました。 そもそも亡くなった人は、「低金利の定期預金よりは配当が良く、安全そうな電力会社の株式を持ちたい」というスタンスで保有していたのが東京電力の株式でした。 また、相続人は全員、証券会社との付き合いがなく、株式投資の経験もありませんでした。このような状況では、株価が大きく下落した株式を相続するのをためらうのは当然のことかもしれません。 さらに、相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングのズレが、大きな問題となりました。筆者に相談を持ち掛けてきた税理士いわく、「東京電力の株式をすべて売却し、現金化したとしても、東京電力の株式の相続税の納税資金には足りません」とのことでした。 そこで、遺産の分割協議をやり直し、東京電力の株式はすべて奥さまが相続することになりました。「相続税の配偶者の税額軽減」によって、奥さまは相続税を納税する必要がなかったからです。

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