[山口県]高級リゾートホテル「白紙」 笠戸島ハイツ跡地 事業者「建設費高騰で困難」
下松市が取り組む笠戸島の市有宿泊施設「笠戸島ハイツ」跡地活用事業で、2026年にグランドオープンを予定していた高級リゾートホテルが白紙になった。市が事業者の高山石油ガス(同市)との基本協定の合意を9日付で解除した。建設費高騰で事業化が困難になったと同社から申し出があったという。 市が10日発表。同社の計画は、風光明媚(めいび)な眺望を生かした高級リゾートホテルと商業エリアを跡地(市有地)に整備する内容。ホテルは木造平屋建てで30室の客室は全室がオーシャンビューで個室露天風呂付き。レストランや展望台を備え、事業費は13億円規模。事業者が施設を整備、運営する「民設民営」だった。 市によると、同社から5日付で申し出があり、建設費高騰により「予定していた金額を大きく上回ることになり採算性が悪化」などとする書面を受け取ったという。 国井益雄市長は「非常に残念。改めて事業を実施していただける事業者の誘致に取り組み、市民の期待に沿えるよう笠戸島の地域活性化に努める」とコメントを出した。市は引き続き事業者の誘致を進める。 笠戸島ハイツが2018年度末に老朽化などで休館以降、跡地利用は市の懸案になってきた。20年に事業者を公募したが市の基準を満たさず「該当者なし」になる事態になり、建物を解体し更地にした状態で昨年9月に再公募。同社が唯一応じ、審査委員会を経て同12月に基本協定を締結した。本来ならば年内に同社と跡地の定期借地権の設定契約をすることになっていた。