支持率が減った菅内閣「他よりよさそう…」じわり存在感 世論調査に潜む…安倍内閣との「共通点」
安倍晋三内閣の「継承」を掲げる菅義偉内閣が9月16日に発足して1カ月が過ぎました。内閣発足から1カ月で、支持率が65%から、53%に減少した菅内閣。朝日新聞が10月に行った全国電話世論調査を分析すると、菅内閣と安倍内閣の「共通点」が見えてきました。(朝日新聞記者・磯部佳孝) 【画像】菅義偉首相の妻の真理子さん 初外遊でベトナムへ向け出発する際、政府専用機のタラップに現れた
安倍内閣に「似だした」菅内閣
朝日新聞が菅内閣発足直後に行った9月の全国電話世論調査の支持率と、10月に実施した調査の支持率を比べると、次のような結果となりました。 ◇ Q:あなたは、菅内閣を支持しますか。支持しませんか。 【支持する】=9月(65%)→10月(53%) 【支持しない】=9月(13%)→10月(22%) *その他・答えないは省略――*調査方法=9月調査は9月16、17日、10月調査は10月17、18日に実施。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、全国の有権者を対象に調査した。有効回答は、9月調査1266人(固定:有権者がいると判明した840世帯から450人、回答率54%/携帯:有権者につながった1568件のうち816人、同52%)、10月調査1458人(固定:1085世帯から571人、回答率53%/携帯:1860件のうち887人、同48%) ◇ 内閣発足から1カ月で菅内閣の支持率は65%から、53%に下がりました。内閣発足直後の支持率は、新首相や新政権への期待などもあって「ご祝儀相場」と呼ばれ、高い数字になりがちです。このため、支持率が下がることは珍しいことではありません。53%は歴代内閣と比べても依然として高い支持率です。 ただ、菅内閣の支持層を男女別と年代別でみると、10月の調査で「ある兆し」がみえてきました。 ◇ Q:あなたは、菅内閣を支持しますか。支持しませんか。 【支持する】 全体=9月(65%)→10月(53%) 男性=9月(62%)→10月(55%) 女性=9月(68%)→10月(51%) 18~29歳=9月(64%)→10月(58%) 30代=9月(63%)→10月(61%) 40代=9月(66%)→10月(57%) 50代=9月(68%)→10月(55%) 60代=9月(64%)→10月(46%) 70歳以上=9月(64%)→10月(47%) 【支持しない】 全体=9月(13%)→10月(22%) 男性=9月(15%)→10月(21%) 女性=9月(12%)→10月(23%) 18~29歳=9月(7%)→10月(11%) 30代=9月(9%)→10月(10%) 40代=9月(14%)→10月(18%) 50代=9月(14%)→10月(25%) 60代=9月(19%)→10月(33%) 70歳以上=9月(16%)→10月(30%)――*調査方法=9月調査は9月16、17日、10月調査は10月17、18日に実施。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、全国の有権者を対象に調査した。有効回答は、9月調査1266人(固定:有権者がいると判明した840世帯から450人、回答率54%/携帯:有権者につながった1568件のうち816人、同52%)、10月調査1458人(固定:1085世帯から571人、回答率53%/携帯:1860件のうち887人、同48%) ◇ 「支持する」を男女別にみると、9月調査では女性68%が男性62%を上回っていたのが、10月調査では男性55%が女性51%を上回ったことがわかります。年代別では、40代以上の支持率が大きく下がったのに比べると、30代以下の支持率はそれほど下がりませんでした。特に、60代と70歳以上の支持率は過半数を割ったのに対し、18~29歳と30代の支持率は6割前後にのぼっています。 男性より女性の支持率が低く、若年層の支持率が特に高い、という菅内閣支持層の特徴は、安倍内閣支持層とよく似ています。7年8カ月続いた安倍内閣では、18~29歳と30代は支持が一時的に離れても戻る「岩盤支持層」でした。 さらに、菅内閣の「支持する」理由を分析すると、安倍内閣と似た特徴をみせています。 ◇ Q:(「支持する」と答えた人に)それはどうしてですか。(択一) 【首相が菅さん】=9月(23%)→10月(15%) 【自民党中心の内閣】=9月(14%)→10月(17%) 【政策の面】=9月(20%)→10月(23%) 【他よりよさそう】=9月(41%)→10月(43%) *その他・答えないは省略――*調査方法=9月調査は9月16、17日、10月調査は10月17、18日に実施。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、全国の有権者を対象に調査した。有効回答は、9月調査1266人(固定:有権者がいると判明した840世帯から450人、回答率54%/携帯:有権者につながった1568件のうち816人、同52%)、10月調査1458人(固定:1085世帯から571人、回答率53%/携帯:1860件のうち887人、同48%)> ◇ 「他よりよさそう」がトップである点は9月と10月の調査で変わりませんが、「首相が菅さん」が9月調査の23%から10月調査の15%に下がりました。4つの選択肢のうちで唯一、9月調査から低下しました。 安倍内閣でも「他よりよさそう」がつねに最多で、その割合は5割を超えることが多く、今年の平均は56%でした。「首相が安倍さん」は今年の平均で10%でした。 内閣発足から1カ月経って支持層の「菅推し」が弱まり、安倍内閣の時と同じように「他よりよさそう」という消極的な理由が支持層の大勢を占めています。「安倍政権の継承」を打ち出す菅内閣は、安倍内閣の支持層も「継承」するのでしょうか。今後の調査でも引きつづき分析が必要です。