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「ギャルだからって入りやめてくれ」。意味深なタイトルがつけられた門田光雅と藍嘉比沙耶の師弟展をチェック

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美術手帖

 2002年に東京造形大学を卒業して以来、色の持つ触覚的な質感を絵具から引き出し、強いストロークと鮮やかな色彩によって抽象絵画の可能性を広げてきた門田光雅(かどた・みつまさ)と、20年の春に同大学を卒業する藍嘉比沙耶(あおかび・さや)。藍嘉比は、門田にとっての原風景ともいえる1990年代の日本アニメを彷彿とさせるキャラクター造形をモチーフに、絵画の探求を続けてきた。  一見対照的な作品を手がける2名の展覧会「ギャルだからって入りやめてくれ 軽率なギャルはギャルをリスペクトするならやめるべき」が、東京・外苑前のEUKARYOTEで開催されている(~4月5日)。同大学で教鞭を執っていた門田は、藍嘉比の講師でもある。本展で門田は、世代や文脈、絵画の様式に至るまで大きく異なる藍嘉比と自身の間を推し量り、対話するように作品の制作や選定、レイアウトイメージについての意見交換を実施。歴史上多くの画家たちがそうであったように、ふたりにとって絵を描く行為は自身のアイデンティティの根幹に関わることは違いないとした。  門田は、19年のニューヨークでの個展を経てから情動性と鮮烈さを増した新作を発表。門田にとって、かつての禁欲的な絵画制作は自身の精神性を覆う方法でもあったと振り返るように、新作では、色彩と作家のより密接なやり取りを感じさせる展開を見せる。  いっぽう藍嘉比は、セルアニメーションの遺物ともいえる象徴的なキャラクターの造形に対し、自己を投影することなくそのモチーフを解体し、再構築することで、新たな色とかたちを探りながら絵画特有の言語として変換してきた現在までの試みを遡る。すでにアートの文脈にアニメが織り込まれている地平から自身を取り巻く風景を観察する、藍嘉比特有の眼差しを感じ取れるはずだ。  互いに両極ともいえる出発点から制作を始め、ともに絵画として結実したふたりの作品。展覧会として同じ空間で向かいあうことは、改めて今日の絵画の可能性を問う機会となるのではないか。

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