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地方、公共病院の医療スタッフ拡充…医療の地域不均衡に「メス」

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ハンギョレ新聞

政府、10年間で医学部定員を4千人増員へ  韓国の人口1千人あたりの医師数 首都圏2.14人、忠清北道1.5人、大きな差 韓方医を合わせてもOECD「最下位水準」 医学部定員の拡大規模を大幅に増やし 国営の公共医学部の更なる設立が必要

 3058人。医学部の入学定員は14年にわたってまったく変化がない。医薬分業に反対してストを行った医師らの要求を受け入れ、2006年に定員を削減したのが最後の調整だ。金泳三(キム・ヨンサム)政権時代に成均館大学などの9校に新設されて以来、医学部新設も20年以上なかった。「医師人材拡充」はそれほど難しい問題だった。  最近、政府与党は「医師人材拡充」を急いでいる。医師が首都圏に集中しているため、非首都圏地域では医療人材の不足が深刻であり、重い外傷や小児外科など、特殊専門分野を医師らが嫌う現象まで現れているからだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、公共病院の人材への過負荷問題まで浮上した。大義名分が揃っている上、国会では176議席の「巨大与党」が誕生したことで、関連議論には弾みがつく雰囲気だ。  政府は、2022学年度からの10年間での医学部入学定員の計4千人増員を推進している。「地域医師特別選考」などの方式で、医学部の定員を年平均で400人増やすというのだ。8日にハンギョレが入手した政府の資料「医療人材拡大方策」によると、政府は重症・必須医療分野で一定期間の服務義務を負う「地域医師」3千人▽疫学調査官、重症外傷、小児外科などの特殊な専門分野で働く医師500人▽基礎科学および製薬・バイオ研究人材500人の、合わせて4千人の医師人材を養成することにした。  地方で勤務する医師は「地域医師特別選考」方式で各医学部が選ぶことになる。奨学金を支給することを条件に、当該地域での勤務の義務があり、応じなければ医師免許の取り消し、または中止が行われる計画だ。定員拡大とは別に「医学部新設」も推進される。国が公共医療分野で働く医師を直接養成する「公共医大」は、閉校した西南大医学部の定員(49人)を活用して全羅北道圏に設立する予定だ。17の広域自治体の中で唯一医大がない全羅南道地域の医学部新設問題は「全羅南道内部で地域を決めた後、別途検討」することにした。  こうした内容が盛り込まれた「医療人材拡大方策」は、6月29日の大統領府首席・補佐官会議で議論され、医学部定員配分を担当する教育部との協議が終わり次第、保健福祉部が政府与党間協議を経て今月中に最終発表する予定だ。共に民主党の関係者は「最終確定案ではないが、地域の医師の数、人口に対する患者の数などを計算して出た数字であることから、『年平均400人』がガイドラインになる」とし「定員50人未満の医学部に定員を優先的に配分するなど、様々な詳細案を論議中」と述べた。  「医師人材拡充」は医療界の中でも賛否が分かれる。最大の争点は、実際に医師が不足しているかどうかだ。韓国の人口1千人当たりの医師数は2.3人(2017年現在、漢方医含む)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国(平均3.4人)の最下位水準だ。ソウル大学医学部のホン・ユンチョル教授(予防医学科)は、国民1人当たりの外来診療回数が16.6回と、OECD加盟国のうち最も多く、高齢者患者も増えているため、来年から医学部定員を毎年1500人ずつ補充しても、2067年まで医師が不足するだろうという研究結果を最近発表している。  さらに深刻な問題は地域間の不均衡だ。農漁村などの医療脆弱地では、応急や外傷、心・脳血管などの必須の重症医療分野の医師が絶対的に不足している。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学科)は「2019年現在の人口1千人当たりの医師数を見ると、首都圏は2.14人だが、忠清北道は1.5人にしかならない。市・道ごとに足りない人材を首都圏水準に引き上げるためには『地域医師』を10年間で9千人拡充しなければならない」と述べた。「地域医師」とは、特別選考で選ばれ、奨学金を受け取る代わりに、一定期間、地域の公共病院で、または疫学調査官などとして服務する義務を負う医師だ。  大韓医師協会などの医師団体は「医師不足はない」と主張する。大韓医師協会のソン・ジョンホ政策理事は「医療脆弱地に医師が不足する理由は、地域不均衡と年俸、福祉など様々な要因で医師が地方病院や公共病院に行かないためであって、医師数が足りないためではない。整形外科偏重現象などを変えるためには、健康保険報酬を引き上げることの方がより現実的な代案」と主張した。大韓医師協会は、政府が医療界と協議なしに進めているとして、ストも辞さない構えだ。  「医師人材拡充」の趣旨に賛成する側からも、政府は消極的すぎるという不満が出ている。医学部の定員拡大規模を400人より増やし、国が運営する公共医学部も更に設立すべきだというのだ。政府与党は、公共医学部の設立には国会での立法が必要だとして「医学部定員拡大」に力を入れている。ソウル市などが推進の意思を明らかにした「公共医学部の設立」は、従来の西南大医学部の定員を活用した全羅北道圏だけに決まった。ソウル市公共保健医療財団のキム・チャンボ代表は「公共医大の更なる設立なしで、単純に私立大を含む既存の医学部に定員を増やすやり方は、政府が『手軽な方法』によってあまりにも性急に推し進めようとする態度。公共性のある地域医師を養成するには、地方自治体と連合大学を設立するなど、様々な道を開いておくべき」と指摘した。 ファン・イェラン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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