1日の座位10時間超え スポーツ栄養士が見る、新時代の競技「eスポーツ選手」の食生活
スクリーンの前で長時間練習「疲労感を和らげることは非常に重要」
象徴的だったのが、朝食のメニュー。脳のエネルギー源となる主食には、ハイプロテインパンケーキやマッスルマフィン、オートミールを用意。パンケーキやマフィンにはプロテインパウダーなどを加えて高たんぱく質に。 また、オートミールは食物繊維が多く、GI値が低いのが特徴。食後の眠気の防止やエネルギーの持続に優れています。ほか、おかずにはベーコンや卵などが用意され、一日のスタートに炭水化物とたんぱく質をしっかり摂れる献立になっています。 「長時間、スクリーンに向かって練習することに伴う疲労感を少しでも和らげることは、非常に重要」とシェフのタイ氏。ストレスにより、体内の栄養素は消耗されます。そのため、1日3食を通し、バランスのよい食事となる配慮もされているそうです。 また、豆腐をパン粉で揚げたものやビーガン・ラザニアなど、肉を使わないプラントベースド(植物性食品)のメニューを、積極的に出していることも印象的。選手の健康だけでなく、環境への配慮がなされている点は、アメリカらしい取り組みを感じさせます。 eスポーツは新しいジャンルです。選手たちが最高のパフォーマンスを発揮するにどんな食生活が適しているのかは、今後、さらに研究が進むなかで明らかになってくると思います。 そして、eスポーツの世界は選手もファンも非常に若い世代が中心です。トッププレーヤーの姿を通して、子どもや学生が食の大切さを学ぶ、よいきっかけになるかもしれない……と期待をしています。 長島 恭子 編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。 橋本 玲子 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビートップリーグ・パナソニック ワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)
長島 恭子 / Kyoko Nagashima