広島市内、変わらぬ人波 県コロナ集中対策再延長、飲食店は協力金の有無で明暗
広島県の新型コロナウイルス集中対策は18日、2月7日までの再延長期間に入った。県全体で出勤の7割減や外出機会の半減が求められる中、広島市中心部の通勤風景や繁華街の人波に目立った変化は見られなかった。一方、新たに営業時間の短縮要請の対象になった飲食店の多くは、休業や時短営業に踏み切った。再延長は感染の抑え込みにつながるのか。住民や事業者に期待と不安が交錯する。 【グラフ】感染拡大前と比べた広島市内の人出の増減率 午前8時前。JR広島駅南口(広島市南区)はスーツ姿の会社員たちであふれ、路面電車やバスを待つ長い列ができた。「人の多さは普段と変わらない。自分も営業でテレワークは難しく、在宅勤務の指示もない」と安佐北区の会社員男性(60)。午後、本通り商店街(中区)でも多くの人が行き交っていた。 県の要請を踏まえ、テレワークを進める企業もある。広島、山口県のJR駅の商業施設を運営する中国SC開発(南区)は18日の部長会議で、部署ごとに在宅勤務を増やす検討をすると決めた。社員約60人の半分は既に在宅勤務に入っており、在宅率を7割に引き上げるため各部署で社員の出勤日の調整を進めた。 ただ、市中心部の人出は18日、大きくは減っていない。NTTドコモがまとめた広島駅の同日午後3時現在の人出は、感染拡大前(昨年1月18日~2月14日)の平均と比べて8・0%減。先週の平日(12~15日)平均からは、わずか0・65ポイントしか減っていない。同商店街を含む中区紙屋町では感染拡大前から20・8%減ったものの、先週の平日平均からは2・7ポイント減にとどまった。 「対策期間の延長続きで正直、危機感は薄い」。昼食時、同商店街を訪れた西区の会社員女性(28)は指摘した。 市中心部の酒を出す飲食店に限っていた時短要請の対象はこの日、市全域の全ての飲食店に広がった。新たに加わったエリアでは要請に応じる店が相次いだ。 広島駅北側にある居酒屋「大人の隠れ家 ああばん」(東区)は休業を基本とし、予約があった場合だけ時短営業をする。「食品ロスも出ていた。協力金はありがたい」と笹木泰宏オーナーシェフ(56)。時短営業を始めた焼き鳥店「鳥勝」(南区)の上瀬孝浩店長(51)も「午後8時以降はほとんど客が来ず、厳しい状況が続いていた。ようやく安心できる」と喜ぶ。 一方、時短要請の対象に含まれた喫茶店はそもそも夜間に営業しておらず、協力金の支給要件を満たさないケースが多い。「十日市茶房」(中区)を切り盛りする面出寛司さん(72)は「昼のお客さんも減っており、協力金がもらえないのは不思議に感じる」と声を落とした。
中国新聞社