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取手市議会が切り拓く会議のオンライン化への挑戦~「デモテック」で創るアフターコロナの新しい政治と行政(1)

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政治山

非常時は「現状維持バイアス」から解放される

 新型コロナウイルスとの戦いが長期戦の様相を呈してきた。ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えようと、インターネットで情報発信を続けている。山中教授は、「ウイルスへの対策は、有効なワクチンや治療薬が開発されるまで手を抜くことなく続ける必要があります。1年以上かかるかもしれません。マラソンと同じで、飛ばし過ぎると途中で失速します。ゆっくり過ぎるとウイルスの勢いが増します。新型コロナウイルスは強力です」と語る。  非常時には、平時に強く働く現状を維持しようと考えがちな「現状維持バイアス」が弱まり、向かうべき方向への動きが立ちあがり、加速し、時間軸が一気に進む。企業のテレワーク、学校のオンライン授業など、今日本のいたるところでそうした実験的な取り組みが起きている。私も自治体向けの研修のオンライン化に向けて、反転授業用の動画教材を作成、オンライン会議システムZOOMを使った研修のオンライン・ファシリテーションにチャレンジしている。数カ月前には考えられなかったことだ。  地方議会にも大きな変化の波が確実に押し寄せている。マラソンの勝負に乗り遅れてはいけない。今回のコラムでは、茨城県取手市議会が挑戦し始めた、会議のオンライン化の取り組みを事例に、アフターコロナ、コロナ後の議会のあり方を考えてみたい。

「デモテック」とその可能性

 早稲田大学マニフェスト研究所では、新型コロナの問題が発生する以前から、ICTやAIの技術、テクノロジーを活用した多様な主体の「参加」と「集合知」により、民主主義のアップデートができないかについての研究と運動の模索を始めていた。そしてこの運動を、ICTやAIを駆使して革新的、破壊的な金融商品、サービスを生み出す「フィンテック(finance×technology)」に習い、「デモテック(democracy×technology)」と命名していた。  「デモテック」には、選挙、政治、行政のあり方を変える大きな可能性がある。例えば、オンライン会議システムの利用だけを考えてみても、様々な活用のアイデアが浮かぶ。選挙の際の公開討論会をリアルとオンラインでつなぎハイブリッドで開催する。選挙の出陣式の時に、遠隔地にいる人とオンラインでつなぎ応援演説をしてもらう。行政のパブリックコメントをオンラインで実施、事後に住民が視聴できるようにする。  議会においても、オンラインで市民との意見交換会を開催し、オンラインの会議で政策に練り上げ、議会からの「政策サイクル」を回していくことも考えられる。オンライン、インターネットを活用することで、リアルな政治や行政の場にはなかなか参加してくれなかった若い世代の参加が増えるかもしれない。議会で実施されている先進地の視察もオンラインで行うことが可能だ。  会議のペーパーレス化や議論の深化を目的にタブレット端末を導入する議会も増えてきている。早稲田大学マニフェスト研究所が2020年3月末の段階で確認しているタブレット端末を導入している議会は、全国で285議会。災害時に情報共有のツールとして利用するなど、活用の幅は広がっていたが、「デモテック」としての活用は、当初の想定を遥かに超えるパラダイムチェンジになりうる。

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