【社説】国会開会に初めて欠席した尹大統領、国会を無視して何をするつもりなのか
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が2日、第22代国会の開会式と初の通常国会の開会式に欠席した。大統領が国会開会式に出席しなかったのは、1987年の民主化以来初めてのことだ。 民意を代弁する国会を訪れ、開会を祝い協力を求めるどころか、冷ややかに無視する尹大統領の態度に、失望を禁じ得ない。 5月30日に第22代国会の任期が始まってから3カ月後に「遅れた開会式」が開かれるほど、与野党は極限の対立を続けてきた。ところが、そのなかでも最近は肯定的な対話の動きもあった。与野党は先月28日、伝貰(チョンセ・契約時に貸主に高額の保証金を預けることで月々の家賃が発生しない不動産賃貸方式)詐欺特別法など28件の民生法案を合意で可決させ、1日には与党「国民の力」のハン・ドンフン代表と最大与党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が会談し、国民の暮らしに関する共通公約を推進する協議機関の運営に合意した。 尹大統領が開会式に姿を現さなかったのは、このような与野党の政治復元の努力に待ったをかけるものといえる。理由も偏屈だ。大統領室関係者は「特検と弾劾を乱発する国会を正常化することが先」だと述べた。また「大統領を呼んでピケットデモをして恥をかかせると疑わざるを得ない」と語った。このような態度は、国会に対する尹大統領の認識に端を発したものとみられる。尹大統領は先月29日の国政ブリーフィングで、年金、医療、教育、労働の4大改革を「大韓民国の生存と未来がかかった絶体絶命の課題」だとし、「必ず成し遂げる」と述べた。一方、そのために必要不可欠な国会との協力には全く意志を示さなかった。尹大統領は「私がこれまで見てきた国会とはあまりにも違う」とし、野党代表との会談にも否定的な態度を取った。しかし、国民からすると、むしろ尹大統領の方がこれまで見てきた大統領とあまりにも違う。 このように国会を尊重しない態度で、尹大統領が意図する4大改革などを実現するのは不可能に近い。野党は尹大統領夫妻を激しい言葉で攻撃し、明確な根拠もなく疑惑を持ち出す行動を慎む必要がある。しかし、与野党の対立の大きな責任は、総選挙の敗北をものともせず、国政基調を固守し、人事権と拒否権(再議要求権)を行使してきた尹大統領にある。尹大統領はこれを認めて国会を訪問し、率直に協力を求めるべきだった。ウ・ウォンシク国会議長は「民意に最も近い国会の声に耳を傾けることが政府が成功する道」だと述べ、残念さを滲ませた。大統領の言葉より国会議長の言葉に共感する国民の方が多いだろう。尹大統領が「国会の正常化」を望むならば、先に与野党に手を差し伸べて「国政の正常化」に向けた最初のボタンをかけなければならない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )