つぶやきシローが語る「ネタと小説を書く時の決定的な違い」
5月29日(日)、Click Holdings株式会社・代表取締役社⻑ 半沢龍之介が編集長、ニッポン放送・前島花音アナウンサーが副編集長を務めるラジオ番組「ラジオマガジン・登龍門」(ニッポン放送・毎週日曜20時30分~21時)が放送。先週に引き続き、お笑い芸人のつぶやきシローがゲストとして登場し、小説家としての一面を語った。
毎週様々な分野で活躍するゲストを迎えてトークする同番組。今回は芸人としてだけでなく、小説家としても活動しているつぶやきシローに執筆について伺った。 半沢:2011年に『イカと醤油』で小説家デビューをしたつぶやきさんですが、小説を書こうと思ったのは? つぶやき:小説を書くというお仕事がきただけです。 半沢:いきなりお話がきたんですか? つぶやき:僕も寝耳に水で。出版社の人が僕の単独ライブを見てくれて。「つぶやきさんは漫談だから書けますよ」と言われて。「本とかも読まないので無理ですよ」と言ったんですけど「書けます、書けます」って。 半沢:書けると何度も言われて、書ける気がしたんですよね。 つぶやき:締切だけは決めないでくださいといって。ホテルに缶詰にされて追われるのはイヤでしょう。そこから半年放ったらかしていたら、さすがに担当者の方から「そろそろ…」と言われたのでちょっと書いて。また放っておいたら声をかけられて、結局〆切作ってくるから(笑)まあ催促がないと書かないんだけど。 半沢:本を書くために読書をしたりしたんですか? つぶやき:それが苦手で(笑)漫画も無理なんですよ。次にどこのマスを見たらいいの?ってなっちゃって。アグレッシブにはみ出してるけどページ数書いてないじゃんとか。見開きで顔がドアップだったりすると、ページをグーンと開いて付け根までチェックしちゃって。小説なんて二段ベッドみたいに書いてあったりするじゃないですか。 半沢:ネタを書くのとはわけが違いますか? つぶやき:僕の体感でお笑いのネタと違うのは、小説は描写をして文章を足していく作業。ネタは言葉を削っていく作業。お笑いだから無駄な言葉を省いて短い要点だけでいかに的確に伝えていくか。「この言葉を付け足すのは無駄じゃないんだよ」と自分に言い聞かせていました。『イカと醤油』の時は変な感じでしたけど、2冊目からしっくり感じてきましたね。 半沢:小説は人間関係や登場人物の個性を細かく描写しないと理解されないんですよね。 つぶやき:そうなんですよね。でも早く先に進めよ…という本もありますけどね。「お前の描写ナルシスいいから」っていう感じの。「こんな表現できるんだよナルシス」はいいから早く進んでって思っちゃいますね。 前島:2作目『私はいったい、何と闘っているのか』を書いたのも依頼があったからですか? つぶやき:1作目とは違う出版社さんなんですけど、『イカと醤油』を読んでくれた数少ない方で(笑)世に出回っていない、売れていない本なのに、どこで見つけてきたんだと。「2作目もどこかで書くんだろうな」と思っていたそうなんですけど、なかなか出ないから連絡をくれて「次決まってないです」と伝えたら「じゃあうちで書いてください」と。 前島:2作目『私はいったい、何と闘っているのか』は安田顕さん主演で映画化されましたよね。 つぶやき:ありがたいです。よく僕の本を見つけましたよね(笑)埋もれていた本なのに映画という形で世に出させていただいて。そこは感謝ですね。 半沢:映画の出来栄えはいかがでしたか? つぶやき:原作より映画のほうが面白かったです。監督をはじめスタッフさんと主演の安田顕さんもそうですけど、みなさんに感謝ですね。 前島:そんなつぶやきシローさんの人生の登竜門は? つぶやき:事務所に入った時だと思います。ネタ見せで受かったと思ったんですね。合格発表の時、僕の番号が呼ばれなかったんですよ。落ちたはずだったんですけど、後半のネタ見せが気になって最後まで残っていたら「補欠で…」と言われて名前を呼ばれたんですよ。だから最初に不合格と言われた時に帰っていたら他のオーディションも受けてないと思うんです。興味本位で残っていたから補欠合格で呼ばれて今ここにいます。 様々な運や偶然が重なり、今ここにいると語ったつぶやきシロー。この他にも、作家としての執筆時のエピソードなどを語った。