「肥満」はなぜ高血圧になりやすいのか? 放っていると糖尿病の恐れ
「肥満の人は高血圧になりやすいと聞くけど……」。かねてよりこうした疑問、あると思います。肥満には大きく「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」とがあり、特に後者では高血圧になるリスクが高いとされています。そこで肥満によって高血圧を引き起こす原因や肥満を予防・改善する生活習慣について、清水ヶ岡糖尿病内科・皮フ科クリニックの清水裕史先生に話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
内臓脂肪型肥満が高血圧のリスクを高める
編集部: 肥満の場合に高血圧になりやすいというのは本当ですか? 清水先生: 本当です。しかし、体重が重くなるほど血圧が高くなるというわけではなく、内臓脂肪が多い「内臓脂肪型肥満」の場合に血圧が高くなりやすいとされています。 編集部: 内臓脂肪型肥満とはどのような状態なのでしょうか? 清水先生: 内臓脂肪型は、主に腸などの内臓周りに脂肪が蓄積している状態です。下半身よりもウエスト周りが大きくなることから「リンゴ型肥満」などとも呼ばれます。内臓脂肪型肥満の場合には、過食や運動不足などが原因といわれています。また、肥満には大きくわけて、内臓脂肪型肥満のほか「皮下脂肪型肥満」があります。皮下脂肪型肥満は女性に多くみられるのに対し、内臓脂肪型肥満は男性に多いことも特徴の一つです。 編集部: 内臓脂肪型肥満が原因で、高血圧になってしまうのはどうしてでしょうか? 清水先生: 肥満による高血圧の原因はいくつかあります。一つは、「インスリン」という血糖値を下げる働きをするホルモンの作用が低下することです。内臓脂肪が増えると、食後に起こるインスリンの作用が不足します。すると体内では足りないインスリンの働きを補おうと、大量のインスリンが血液中に分泌されるのです。 編集部: そのほかにはどのような原因があるのですか? 清水先生: インスリンにはほかにも腎臓でのナトリウム(塩分)の取り込みを促したり、自律神経のうち体を活発に動かす際などにはたらく「交感神経」を刺激したりする作用などもあります。そのため、腎臓での塩分調整障害が生じたり、交感神経が亢進することで血管が収縮したりして血圧が上昇してしまうのです。また、肥満の原因である運動不足や過食も高血圧の要因になります。特に塩分の過剰摂取は血圧を上昇させる原因になるため、味の濃いものを好んで食べているという場合には、高血圧を発症するリスクが高くなります。 編集部: では、肥満の場合には肥満を引き起こしている生活習慣も、高血圧のリスクを高めているのですね。 清水先生: そうですね。高血圧の発症は、生活習慣による影響が大きいとされています。また、遺伝やストレス、睡眠不足、アルコールの多飲、喫煙も高血圧のリスクを高めます。このような要素が多いという方は、高血圧になるリスクが高いといえるでしょう。