由布川峡谷の「猿渡入り口」、今春復旧へ 災害に強い新ルート、展望台も整備
台風被害で2017年9月から水辺に下りられなくなっている由布川峡谷(大分県由布、別府両市)で、由布市挾間町側にある「猿渡入り口」が今春、復旧する。市は災害に強い新たなルートを選定し、遊歩道や展望台を整備。ゴールデンウイーク前の完成を目指す。地域のシンボルに大勢の観光客が戻ってくる日を心待ちにする住民らは、復旧に向け周辺の美化活動に励んでいる。 猿渡入り口は15年にも土砂崩れで通行禁止となり、17年3月に復旧したが同9月に台風被害に遭った。
新ルートは岩盤の強さなどを調査して土砂災害が起きにくい場所を選んだ。全長は旧ルートより50メートルほど長い約180メートル。これまで通り猿渡駐車場から歩いて行けるが、入り口の位置が東側から北西側に移る。現在、遊歩道の階段取り付け工事などを進めている。 展望台は遊歩道の途中に設け、広さ約300平方メートル。正面に滝の絶景を望め、子どもやお年寄りが水辺に下りなくても安全に楽しむことができる。 地元住民らでつくるはさま由布川峡谷観光協会によると、峡谷は「東洋のチロル」とも称される景観が自慢。被災後も大手航空会社のカレンダーや全国的な旅行本で紹介された。水辺に下りられないと知らずに訪れる観光客も多いという。内田はつみ会長(74)は「復旧時期が具体化し、『春以降にまた来てね』と言えるようになったのがうれしい」と喜ぶ。
同協会は昨年11月、峡谷周辺に設置するプランターに花の苗を植えるイベントを開催。市民約60人が参加した。オープニングイベントの検討も始めている。 復旧に合わせ、峡谷を見下ろせる小平(おひら)つり橋に通じるルートについても草刈りなどの作業を続ける。 地元の朴木(ほおのき)自治区の後藤義信区長(72)は「峡谷は先人たちが大切に環境を守ってきた宝物。素晴らしい景観を再び見てもらいたい」と話した。