【バスケ日本代表】渡邉飛勇が乗り越えた3年間の「きつく悔しい旅」 東京五輪雪辱へ パリでメンバー入りなるか
ホーキンソンとも好相性「チームにとって大きなピース」
韓国戦では渡邉とホーキンソンの両ビッグマンが同時に出場するラインナップが多用された。万が一渡邊が万全でなかったり、出場できない場合、八村を3番に据えて4番に渡邉、5番にホーキンソンという高さのあるラインナップを使う可能性もある。 慣れない4番ポジションでの起用について渡邉は「4番でのプレーはよかったと思います」と手ごたえを口にする。終盤のプレーに関しては「もっといいプレーができたと思う」と課題に挙げたものの、「動きが速いペリメーターの選手たちとマッチアップすることはいいチャレンジだと思うし、90%はいい仕事ができたと思う」と胸を張った。 息の合った連係プレーを披露したホーキンソンも「素晴らしい活躍だった」と渡邉のプレーを振り返る。 「いつもリバウンドに飛び込むし、ボックスアウトやリバウンド、とてもハードにフィジカルにプレーしてくれます。チームにとって大きなピースです。彼のような運動能力が高くリバウンドを取ったりダンクしたり、全力でフロアを走って細かいことをいろいろできる選手がいるのは大きいです。今日の活躍も素晴らしかったし、彼のパフォーマンスを誇りに思います」
3年間の思いぶつけ「すべてを出し切った」
2021年、当時22歳の渡邉は東京五輪のメンバーに選出されたものの、本戦での出場機会はなかった。「東京五輪の時の僕はただの若者で、将来のためにメンバーに選んだもらったようなものでした」と渡邉は当時を振り返る。 東京五輪後は活躍が期待されたものの、度重なるケガに苦しんだ。五輪直後の9月には右腕の骨折で3度の手術を経験。メンバー入りが期待された昨夏のワールドカップでは、開幕直前に右肩を負傷し、チームからの離脱を余儀なくされた。 「長い旅でした」 3年間の思いをかみしめるように、ゆっくりと言葉をつなげていく渡邉。 「すごく長い旅。きつい、悔しい旅だった。東京オリンピックから今回まで本当にきつかったよ。マジできつかった。もう二度とやりたくない(笑)。ここにいられるだけでとても嬉しいです。感謝したいです」 所属していたBリーグ琉球ゴールデンキングスは外国籍ビッグマンの層が厚く、なかなか出場機会にも恵まれなかった。ケガにも悩まされ、波乱万丈な3年間だった。それでも、腐らずに努力を続けた。 「すごく自分を誇らしく思います。このキャンプでもケガを抱えながらプレーしてきたし、これまでも3回手術をして、琉球でもあまりプレーできなくて。いろんな要素がありながら自分がコートで出し切れたことはとても誇らしいです。すべてを出し切りました」 3年間の思いを代表活動にぶつけ、すべてを出し切ったからこそ、8強入りを目指すパリ五輪への思いは強い。 「(パリ五輪でプレーすることは)とても楽しみです。僕たちが前回のオリンピックからどうバウンスバックできるか。最終予選を勝ち上がったチーム(ブラジル)には勝てるチャンスがあると思うし、フランスはウェンバンヤマとかもいるけど、できるだけハードにぶつかっていくだけ。前回大会からどうバウンスバックできるかワクワクしています」 いよいよパリ五輪に向けたロスター12人が発表されるアカツキジャパン。「今はトム(ホーバスHC)の判断を待つだけです」と渡邉の表情は明るい。 「パリ五輪のロスターに入ったら多分泣くと思う(笑)。もしロスターには入れれば(トップレベルの選手たちとマッチアップすることを)考えていくだろうし、もし落ちたらBリーグでまた頑張るだけ。とにかく自分はやることをやり切ったと思います」 2大会連続の五輪出場、そして東京五輪のリベンジとなるか。運命の発表はもうすぐだ。
滝澤 俊之