香川で鳥インフル 過去最大33万羽殺処分
農水副大臣、知事と会談 迅速な支援を確認
農水省の葉梨康弘副大臣は5日、香川県の浜田恵造知事と鳥インフルエンザに対する対応について会談した。葉梨副大臣は、知事に対して、人、資材、財政面で万全の支援体制を整えたことなどを伝えた。 浜田知事は「農家それぞれが十分注意していたが、最初の発生になってしまったことは残念で申し訳ない気持ち」とし、「被害が最小限にとどめられるよう、国に支援と協力をお願いしたい」と話した。 葉梨副大臣は「一刻も早く激励と支援の約束を知事に伝えに来た」とし、「伝染病は初動が大切なため、迅速で的確な殺処分、消毒ポイントの設置、移動制限、疫学的調査など同時進行していく」と強調した。 JA香川県は、木内秀一理事長を本部長とするJA香川県鳥インフルエンザ対策本部を立ち上げた。県の要請を受けた場合、消石灰の提供や人的支援に乗り出す。 既に、県の要請を受け、消毒ポイントとして三豊市と観音寺市のJA施設を提供。今後、追加で消石灰などの提供の他、周辺農家が事業継続のために必要な資金について融資メニューを用意している。6日に第1回会議を開く。
まさか再び… 飼養33万羽 異例の規模 作業の終わり見えず
今季初の高病原性鳥インフルエンザが発生した香川県三豊市では、飼養数33万羽という異例の規模に、関係者の間で衝撃が走った。家畜保健衛生所の職員らは当該農場での対応に追われ、防疫対策を徹底していた生産者は「また香川で発生するとは……」と、2年前に同県で発生したことを思い出し肩を落とした。 県畜産課によると、当該農場は33万羽の採卵鶏を飼養。2階建てのウインドレス鶏舎に約4800のケージがある。疑似患畜の確認を受けて、午前9時から消毒を開始。午前11時15分から殺処分が始まった。県の要請を受け、午後3時からは自衛隊員も作業に当たった。慌ただしい雰囲気の中、殺処分に使う資材や防護服など必要な物資を積んだ車が出入りし、消毒ポイントも8カ所設置された。 ケージは人の身長より高く、奥行きもある。そのため「(鶏の)捕獲が難しく殺処分に時間がかかりそう」(県畜産課)で、現場に入った家保職員は「見通しが立たない」と途方に暮れる。 生産者の間では衝撃が広がる。農場から半径10キロ以内の搬出制限区域内で採卵鶏5万羽を飼う農家(77)は「これからの時期は常に発生する恐れがあると思っていたが、また香川とは」と驚く。1日当たり2700~2750キロの鶏卵を出荷するが、影響は見通せない。「毎日消毒などの徹底した対応をするしかない」という。 県内屈指の養鶏地帯での発生に、影響の長期化を懸念する声も出ている。県によると、10キロ圏内で出荷ができるようになるには獣医師による検査が必要。家保に所属する獣医師は当該農場での作業に当たっているため、検査に当たれる人員が少ないという。国と協議し、県外の獣医師に検査を要請している。
常に予防徹底「本当に驚き」 志渡節雄香川県養鶏協会会長の話
数日前に、国から県を通じて、北海道紋別市で野鳥のふんに高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたと連絡を受け、防疫態勢の強化に向けて気を引き締めた直後の出来事。渡り鳥の飛来を考えれば、感染があるとしても四国はまだ先のはずで、ただただ驚いている。 感染経路など不明な点が多くどこで発生してもおかしくない。香川県では2018年に発生があったため、緊張感を持って予防の最善策を取っており、本当に驚いている。 今後、養鶏協会としては、情報があれば速やかに会員に流すとともに、養鶏家、県、関係機関と連携して、感染拡大防止に全力を尽くしたい。
日本農業新聞