夜が明るすぎる光害の問題、パリでは消灯早めるなどの対策 東京でも一部市民ら活動
東京では「明かりの質」チェック
「ここは、光の犯罪者。ここは英雄」 9月21日夜、東京都の有楽町・日比谷周辺で、若者たちがネオンや照明の場所を地図に落とし込んでいった。まぶしすぎるなど課題がある光は「犯罪者」で青いシールを貼る。よい照明は「英雄」で赤いシール。参加者で意見が分かれるときは、黄色いシールを貼った。地図には、青が四つ、赤が四つ、黄色が一つ並んだ。 照明デザイン事務所、ライティングプランナーズアソシエーツ(LPA)が主催する研修の一コマだ。照明デザイナーの道を考えている学生らが参加した。 LPAの面出薫代表は、穏やかな色合いが特徴的な東京駅丸の内駅舎のライトアップを手がけた。1990年から、照明のあり方を考える市民参加のワークショップ「照明探偵団」も主宰する。 この日の研修は、探偵団の手法を知ってもらおうと企画。指導役の照明デザイナーの村岡桃子さんは「スポット的に明るすぎるものを規制するだけでなく、まち全体でどういう明かりにしていきたいか、地域のコンセンサスが重要。目に障害がある方のために一定の明るさの担保を考える必要もある」と語りかけた。
東京都は2018年、「東京都景観計画」の大規模建築物の景観形成基準に夜間照明の事項を追加。手引も作り、光の色や照明の当て方などのポイントを示した。手引作りにはLPAも協力した。 中央区では2022年6月、光害と判定する照度などを定めた光害防止指導要綱を独自に施行。きっかけは、電子掲示板などへの苦情の増加だった。区内は銀座など商業地域も多く、住宅地域が隣接する。担当者は「光害への意識を高めていくことが大切」と話す。
朝日新聞社