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デアリングタクトを“低予算”でモノにした岡田牧雄さんの眼 思わず声が出た岡田兄弟のクラシック上位独占

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中日スポーツ

【本城雅人コラム】

 デアリングタクトが本馬場入場した時は、昨年の日本ダービーのサートゥルナーリアが頭をよぎった。発汗が激しく、今にもハミをかみそうなほど気合が乗りすぎていたからだ。戦法に悩んでも不思議がない状況だったが、松山騎手は待機場で馬を必死になだめ、そしてゲートが開いてからも行き過ぎないように、コーナーで他馬とぶつかっても馬がムキにならないように、そろっと下げてインに入れた。おかげで直線は後方気味、しかも前に馬が何頭もいる苦しいポジションだった。何度か前が開いたが、松山騎手はまだ早いと我慢する。そしてラスト400メートルを過ぎてから、一瞬開いた内側を狙って追い出した。馬も本当に強いが、松山騎手もとても冷静な判断で、完璧な騎乗で63年ぶりの無敗の2冠馬に導いた。 【写真】オークスを制し颯爽とウイニングランするデアリングタクト  デアリングタクトは岡田スタッドの岡田牧雄さんがセレクトセールで購入した。牧雄さんは、マイネル・ウイン軍団の総帥、岡田繁幸さんの弟で、最近は牧雄さんもテレビ、新聞から馬券予想を依頼されるなど相馬眼で知られている。繁幸さんは安い馬も数多く見つけて走らせることで有名だが、まれに高額馬も買って勝負する。しかし牧雄さんはとことん低予算で、自分の納得する馬を探す。デアリングタクトも当歳のセレクトセールから目をつけていたそうだが、値段が高いと見送り、1歳セールに再上場してきた時に購入した。  「こういうやり方だとなかなか大レースは勝てないけどね」。以前謙虚にそう話したのを聞いたが、最近は岡田スタッドの生産馬、自己所有馬、そしてクラブ法人のノルマンディー・レーシングからも次々と活躍馬が出ている。  吉田兄弟によるG1の上位独占はもう何度も見たが、岡田兄弟のクラシック上位独占にテレビの前で快哉(かいさい)を叫んだ。競馬は馬だけでなく、人もまた「血脈」がドラマを作るブラッドスポーツなのである。(作家)

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