おひとりさまの老後~高齢単身無職世帯は毎月いくら貯蓄を取り崩す?
2015年の国勢調査によると、日本人の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は男性が約24%、女性は約14%。1990年にはそれぞれ約6%、約4%だったことを考えると、急速に未婚化・非婚化が進んでいることがわかります。”おひとりさま”という言葉が違和感なく受け入れられるようになっているのも、こうした傾向を反映しているのでしょう。 「2019年 高齢無職世帯(単身、夫婦)の消費支出内訳」の図表を見る その”おひとりさま”にも、いずれ老後がやってきます。年を取って仕事をやめたときのことなど考えたことがない、という人がほとんどだと思いますが、リタイアして年金を受給している単身世帯の収支を知っておくと、老後のお金や生活をイメージしやすくなるのではないでしょうか。 総務省の「家計調査報告 [家計収支編] 2019年(令和元年)平均結果の概要」には、高齢単身無職世帯の1カ月の収入と支出のデータがあります。どんな内容なのか見てみましょう。
高齢単身無職世帯の1カ月の収入と支出はどのくらい?
収入 上記の調査によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の1カ月の実収入平均額は124,710円、うち公的年金などの社会保障給付が115,558円。税金などの支出約12,061円を差し引いた残りの112,649円が可処分所得です。 ちなみに、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の場合、1カ月の実収入平均額は242,468円、うち公的年金などの社会保障給付が216,910円。可処分所得が206,678円です。 支出 一方、高齢単身無職世帯の1カ月の平均消費支出は139,739円。先ほどの可処分所得との差額27,090円が不足分で、それを貯蓄から取り崩すことになります。 支出の内訳は図表1の通り。高齢夫婦無職世帯と比較すると、単身世帯の場合は住居費や光熱・水道費の構成比が高くなることがわかります。 また、高齢単身無職世帯の毎月の不足分27,090円を年額にすると33万円弱。人生100年と言われる今、ざっくり65歳から老後30年とすると約975万円となります。言い換えれば、少なくともそれくらいの貯蓄は必要というわけです。 なお、仮に60歳で定年退職になり、65歳で年金受給が開始されるまで何らかの収入がないとしたら、その時期の生活費も蓄えておく必要があることにも注意が必要です。